令和4年9月定例会 9月2日
◯7番(中村直行) 新政令和の中村直行でございます。ただいまより、一般質問をさせていただきます。
さて、西尾市は三方は丘陵地、一方は三河湾を望み、豊かな実りをもたらす矢作川が流れ、その実り豊かな大地と温暖な気候は、縄文の頃より人が暮らすのに適した土地柄で、古代より継続的に暮らしが営まれております。矢作川により堆積した肥沃な沖積土壌で、東部は三河高原の山々が連なり、幡豆の山並みに沿って洪積台地が南に延びています。年間降水量は1,674ミリ、平均気温15.4度で、高地の大部分は平たん地で、都市近郊型農業により産地化が進んでおります。経営規模は小さいものの、水稲、施設花き、施設野菜、果樹、茶、植木、露地野菜などの複合経営が多く、都市近郊型農業として農業経営の安定化、自由化を図っています。農業の特色は、古くから抹茶の原料となるてん茶の生産が盛んで、全国有数の生産量を誇っています。
私の住む福地地区は植木栽培が盛んで、約170年ほど前の江戸時代の後期に稲沢市から伝わった技術を基に始められ、三河黒松をはじめとして全国有数の植木産地となっています。かつては植木の市場も活気にあふれ、野々宮町の植木出荷場では季節の植木や盆栽などが出品され、威勢のいい競りが行われていました。また、日本で有数な花き生産地でもあります。マンリョウ、センリョウ、モミジなどの花木やトキソウ、イチジク、キンカンなどの実つき果樹を観賞用に鉢上げしたものを和物といい、西尾市が命名の地であります。1年を通じて100種類以上で、約160万鉢が出荷されており、地域の鉢物生産は観葉植物、洋ラン、鉢花、和物に大きく分けられ、幅広い種類を生産する総合産地です。観葉植物、バラ、洋ラン、カーネーション、キク、洋花、鉢花、和物の8種類の代表的なものがあります。また、品種や品質にも優れており、生産量も多く、全国に向けて出荷がされています。ほかにも西尾の特産品として、梨やイチジク、イチゴも盛んに生産されており、まさに花と緑に囲まれた地域であります。
かつて、三河湾でとれるアサリの生産高は日本一でした。春から初夏にうまみのもととなるコハク酸が増加し、旬を迎えるアサリは日本全国でとれますが、中でも幡豆町は県下有数の生産高を誇ります。干満の差が大きく、きれいな砂浜に恵まれた幡豆のアサリは良質で、うまみたっぷりの一品として人気があります。しかし、2008年頃をピークに、近年では環境の変化により漁獲量は激減し低迷しています。
一方で、本市の畜産業に目を向けますと、畜産は酪農、肉用牛、養豚、養鶏(採卵)、養蜂があります。今、市内には約2,000頭の乳牛(ホルスタイン)、約1,900頭の肉牛、約2万7,000頭の豚、約40万羽の鶏がいます。酪農は耕畜連携を活かした自給飼料向上を推進、経営コストの低減と使用管理の改善を図っています。畜産業の発展と地域の農地活性化のため、畜産団体への国、県を含めての補助事業・整備事業を、またよりよい畜産物を生産のため診療(主に牛)を行ったり、病気の予防のために予防接種を行ったり、衛生対策、環境対策の指導・助言をしたり、安全な堆肥づくりに力を入れたりと、一年中惜しみない努力をしています。さらには、6次産業化にも取り組まれ、地元酪農家たちでソフトクリーム、プリン、生キャラメル、チーズなどの乳製品製造などの取組も行われております。
そのように全国に誇れる産業がたくさんあるにもかかわらず、私たちの衣・食・住を支える1次産業が危機的状況にあります。後継者や就業人口の不足、高齢化による耕作放棄、コロナ禍における需要の減少、原油価格の高騰による飼料や肥料の高騰など、もはや企業努力だけでは成り立たない状況と考えております。そのような観点から、1議題9項目について本市の1次産業に対するお考えをお尋ねいたします。
議題1 農水産業に対する支援や活性化対策について、お伺いをいたします。
過去にもアサリ漁業に対する質問は、数多くの先輩議員の方たちがお尋ねになりました。直近では松井議員が、令和3年12月定例会にて質問されましたが、アサリ漁業復興の取組の効果に対して市の答弁は、「アサリ漁業の復興につきましては、平成29年度から比較すると全盛期の3割ほどであるが、回復傾向に向かっており、良好な状況であると伺っている。この状況の要因は特定されていませんが、浄化センターからの基準値以内の栄養塩を含んだ下水放流をはじめとする、さまざまな関係機関の取組が功を奏したものと考えられます」と答えられておりました。年々、衰退をたどっていたアサリ漁業に回復の兆しが見えてきたとありました。今後のアサリ漁業振興の観点から、お尋ねします。
質問要旨(1)アサリ漁業復興の成果と展望はどのようでしょうか。西尾市浄化センターの改造工事後から、アサリの漁獲量に影響が出たと考えられますが、行政としてどのようにお考えになりますか。また、西尾市浄化センターの処理水を試験的に北浜川へ放流することを検討しませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 産業部関係分について、ご答弁申し上げます。
アサリの漁獲量は、アサリの種苗放流と、県が行う砕石覆砂や矢作川浄化センターの管理運転などの取組により、平成24年のピーク時には及ばないものの回復傾向にございます。平成21年9月頃から、西尾市浄化センターの改造工事によりまして、北浜川への放流から下水放流に変更になりましたが、その影響については把握をしておりません。
◯議長(鈴木正章) 環境部長。
◯環境部長(高須 耕) 環境部関係分について、ご答弁申し上げます。
西尾市浄化センターは、先ほど産業部長も言われたとおり、高負荷の脱窒素処理方式に高度処理を加えた河川放流施設として運転をしてきましたけれども、設備の老朽化に伴いまして、平成21年に下水道の放流施設に改造しておりまして、現在の設備のままでは処理水を河川放流することはできない状態でございます。仮に、大きく設備を変えずに放流をするといたしましても、排水溝や配水管の点検整備、放流水質の確保、あるいは県や地元をはじめとした関係団体との調整など、実際的にはかなりの時間と費用を要するものと思われます。
したがいまして、現状におきましては、浄化センターの処理水を河川放流することは、現実的にはちょっと難しいのかなというふうに考えております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 私自身が改造工事後に西尾市浄化センターへ携わっていた経験から、改造工事後からアサリが徐々にとれなくなったのではないかと考えております。当初は原因が全く分からず、赤潮やカイヤドリウミグモやツメタガイの発生や、三河湾の港をしゅんせつして深く掘り下げたくぼ地に、プランクトンの死骸がたまったなどと言われていました。
そこでお伺いしますが、ピーク時の平成24年と現在の漁獲量はどのようか、お知らせください。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 平成24年度は約1万5,819トンで、令和3年度は749トンでございます。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再度質問します。計算してみると、ピーク時のわずか4.7%の漁獲量であるということです。本当に驚くべき数字であります。かつては日本一と言われた三河湾ブランドのアサリが激減している、これではアサリ漁業の生計は成り立ちません。可能性がある限り挑戦すべきではないか。
そこで、再質問します。回復傾向にあるとのことですが、今後の取組はどのようかお尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) アサリ種苗放流と、愛知県には海域への砕石覆砂や矢作川浄化センターの管理運転など、引き続き要望してアサリ資源の回復に努めてまいります。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。河川放流が簡単でないことは理解しますが、例えば1年のうちでアサリに影響する期間に限定したり、放流量を調整したりすることで、河川放流することを検討することはできませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 環境部長。
◯環境部長(高須 耕) 中村議員がかつて、この施設に携わっておられたということで、特に以前の施設が河川放流をやっていた施設ということで、そういうことの可能性もあるのではないかというふうに思われたと思うんですが、先ほどご答弁をさせていただきましたとおり、河川放流を今やろうとしますと、さまざまな問題があるところではございます。ただ、可能性を排除してしまうのではなくて、設備の整備費用とか、県をはじめとした関係団体の考え方を確認するなど、河川放流するための方法や課題について調査研究をしてまいりたいと考えております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 2022年4月16日、中日新聞Web版に「アサリ激減、適度な栄養で再生を」という記事が掲載されております。浜名漁協の渥美 敏組合長は、「水がきれいになりすぎたからではというのが漁師らの実感だ」と語っておられます。三河湾や瀬戸内海の漁師からも同様の声が挙がる。アサリの餌の植物プランクトンは、水中の窒素やリンなどを栄養にして増える。かつては、窒素やリンを多く含む生活・工場排水、畑の肥料などが流れ込み、海や湖が不栄養化して植物プランクトンが大量発生する赤潮が問題になりました。
一方で、高い下水道の普及率と厳しい排水基準などの効果で水質が改善した結果、食物連鎖を支える植物プランクトンの栄養も減った、これを貧栄養化と呼び、長年指摘してきた山本民次広島大学名誉教授は、国は汚れの原因を減らせばいいというだけで、窒素やリンが生物に不可欠との視点に欠けていたと批判、1時間に1リットルをろ過するアサリの浄化能力を念頭に適正な量の栄養を供給し、アサリに浄化してもらう方が生態系にとって健全だと指摘しておられます。
愛知県は2017年から、三河湾に注ぐ2カ所の下水処理場で一定期間、環境基準の範囲内で処理水のリンの濃度を意図的に上げる管理運転を試行しています。放流口近くのアサリの実が大きくなる効果が出ているとお聞きします。愛知県の河川放流基準があることは承知しております。また、設備の改造にコストがかかることも理解はしております。あくまで試験的放流であるという考えで愛知県と調整し、最低限の設備変更をして、現在、下水放流している10%から15%でも北浜川へ分水し、注水するべきと考えております。自然の環境、生態系を元に戻し、海の豊かさを守ろうとするSDGs14の目標に向けて、前向きに検討されることを期待し、次の質問にまいります。
本市の基幹産業は農業でありますので、農業の振興なくして本市の発展はあり得ないのであります。しかし、農業の将来展望は決して明るいものではないことも事実であります。その食料を生産確保する農業、漁業がおしなべて不振であり、憂慮すべき現象と考えます。
そのような観点から、質問要旨(2)農業を続けていけない農家はどの程度あり、その実態はどのようですか。また、行政として農業経営の安定化対策の取組はどのようですか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 農業を続けていかれない農家数及び、その実態については把握しておりません。また、農業経営の安定対策の取組は、地域農業を担う経営体と生産基盤となる農地は、将来において確保していく必要があると考えます。そのため、農業用機械や施設設備の近代化と農業経営の基盤強化に取り組む農家に対しまして、国や県が打ち出す補助金の確保に努め、引き続き農業経営の安定対策に取り組んでまいります。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。10年前からの農家数の推移はどのようか、お知らせください。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 国が発行しております農林水産統計年報によりますと、平成22年2月時点の農家数は2,159戸、平成27年2月時点の農家数は1,657戸、令和2年2月時点の農家数は1,200戸と、農家数は年々減少をしております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 農家の数が年々減少していることは分かりました。わずか10年余りで55%になったとすれば、将来が不安になります。ウクライナ危機により、小麦やトウモロコシなどの国際価格が急騰する中、食料危機が懸念されております。国の施策で高米価、低麦化を推し進め、減反で米価を高くすることで兼業農家を維持してきました。食料自給率の向上に尽力していただき、農業を守る施策の充実を期待します。
次に、農業後継者問題についてお尋ねします。
人口の高齢化に伴って農業従事者も高齢化し、後継者がいないので農業は自分の代で終わりだといった話をよく聞きます。後継者のいる、いないは基本的には個人の問題でありますが、基幹産業である農業だけに見過ごせない問題であろうと考えます。本市の実態はどのような状況であるか、お伺いします。
質問要旨(3)専業農家はどの程度あり、後継者の有無はどのような状況ですか。また、行政として農業後継者対策の取組はどのようですか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 国が発行している農林水産統計年報で、先ほど述べましたとおり令和2年2月時点の農家数は1,200戸で、そのうち専業農家数は381戸でありますが、後継者の有無については把握しておりません。
また、農業の後継者対策の取組につきましては、農業の持続的な発展を図るため、将来にわたり地域農業を担う経営体の確保が必要であると考えます。そのため、国の補助金を活用しまして、経営主から経営を移譲される後継者に対しまして、移譲後の経営に補助金を交付する取組などを行っております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 後継者の問題は私生活の問題でありますから、農家のお子さんに「あなた農業しなさい」とするわけにはいきません。しかし、後継者を確保するために行政として何か打つ手を考えるべきです。企業誘致と同じ感覚で、農業をしたいという人を誘致する方策も検討されるべきと考えます。
また、篤農家と言われている方が、40歳近くになっても結婚相手がいないということで、農業に見切りをつけて離農されないよう、都市の女性を集団で招き、ホームステイをして農業体験をしてもらうなど、交流の場をつくることは行政でもできることではないでしょうか。
次に、畜産農家の担い手についてお伺いします。
生き物を扱う畜産業は、さらに高齢化や後継者不足による戸数、頭数の減少が懸念されます。将来の担い手問題を考えたとき、農業の後継者をどのように確保していくかが重要です。そのような観点から、お尋ねします。
質問要旨(4)後継者不足を抱える畜産農家はどのくらいありますか。また、酪農ヘルパー制度の導入についてどのようにお考えになりますか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 世帯主が65歳以上で後継者がいない畜産農家、もしくは未定である割合は全体の2割ほどになります。また、酪農ヘルパー制度を活用することで、1年を通して計画的な休暇の取得が可能となり、ゆとりある畜産経営ができるものと考えます。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。1年365日、1日として休むことができないのが酪農家であります。こうしたことから、後継者がいない、いてもお嫁さんがいないというのが実態でもあります。酪農ヘルパー制度を活用することで、1年を通して計画的な休暇の取得が可能となり、ゆとりある畜産経営ができるとのことでありますが、酪農ヘルパー制度の活用状況と問題はどのようかお尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
412◯産業部長(加藤英之) 酪農ヘルパー組合を運営している愛知県酪農農業協同組合西尾支所に確認しましたところ、現在、16戸の酪農家に対し3人のヘルパーが従事しており、1戸当たりのヘルパー月平均活用日数は約4日となります。
問題としましては、愛知県酪農農業協同組合西尾支所に対し、ヘルパーの採用者を増やし、活用日数の増加を要望したいところではありますが、飼料高騰などで酪農経営が圧迫しているところ、ヘルパーの支出でさらに経営が厳しくなると伺っております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 食の安定した供給事業の継続や担い手確保などに向け、さらには新規就農につなげるためにも、本市としても酪農ヘルパーへの助成を切に願います。
次の質問にまいります。後継者がいない、高齢化したなどの理由で耕作を放棄した土地が随所に見られるようになりました。このまま放置するならば、豊かな自然と環境が破壊されることは必至であります。では、耕作放棄地が増えるとどうなるか。農地は農産物の生産以外に多面的な機能を有していることから、耕作放棄地が増加することによって多面的機能が破壊され、次のようなことが懸念されます。災害の発生、有害鳥獣や病害虫の増加、不法投棄の増加、地域コミュニティの悪化、景観の悪化、食料自給率の低下、保水機能の低下などがあります。
耕作放棄地の活用方法は全国で見られます。広島県庄原市では、こうした休耕地を活用し、「田舎に家を建て農業を経験してみませんか」とする自由農園の計画が試みられて、休耕地を再生し、キク栽培がされたという事例があります。棚田が広がる宮崎県日之影町ではレンタカウといって、中山間地の荒廃を防ぐため耕作放棄地に貸し出した牛を放牧し、ストレスのない牛に育ち、飼育コストを抑えられるメリットがあるそうです。また、福島県天栄村では、村民にヤギを飼ってもらい、ヤギで耕作放棄地やのり面の除草をしています。耕作放棄地の環境を向上させることで、イノシシや鹿などの食害被害の減少につながるねらいもあるそうです。そのような観点から、本市の耕作放棄地の考えを伺います。
質問要旨(5)耕作放棄地の活用問題について、どのようにお考えになりますか。また、体験農園や市民農園など、農地利用の継続、農地バンクの活用や農地転用を推進しませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 耕作放棄地の活用には、耕作を希望する担い手とのマッチングが重要であると考え、農地バンクを活用した利用権の設定を推進しております。しかしながら、耕作放棄地のほとんどが耕作条件が悪く、利用価値が低いため借り手が見つからず、解決につながらない状況でございます。また、体験農園や市民農園の開設には、農地相談窓口をご利用いただきたいと思います。
なお、耕作放棄地の解消を目的とした農地転用を行う考えはございません。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。農地転用を行う考えはないとのことでありますが、農地転用が行えない土地で、平成25年に施行された一時転用許可制度を活用しようと地域のさまざまな方と協働し、実現させたソーラーシェアリングについてご紹介します。
宮城県登米市では、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)農業を行いながら、上部の太陽光発電システムで発電事業を行い、下部の太陽光発電パネルの下でキクラゲ栽培をしています。農地の一時転用許可とは、農地を一時的に利用することを許可する制度であります。農業を継続し、周辺の平均収穫量の8割以上となる収穫量を確保することや、一時的に利用した後に農地へ復元すること、年に一度の報告義務などが許可の要件となっています。これら耕作放棄地を含めた農地を、やる気のある若手や資本力のある経営者の担い手に集約することが重要です。農地集約が進まない問題の本質は、効率的な農地利用をしなくても農地を保有し続けられるためであると考えております。耕作放棄地も、土地を放置していても税などの負担が極小であることに原因があります。
したがって、零細農地への補助金の撤廃と耕作放棄地の固定資産税の増額で、非効率農地及び耕作放棄地へのペナルティーを政策的に課すべきではないでしょうか。本市の豊かな自然と環境を守るために、こうした耕作放棄地の活用を望むところでありますが、市はどのように耕作放棄地を把握しておられるか、お伺いします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 毎年、農地利用最適化推進委員が、各担当地区におきまして農地パトロールを実施して耕作放棄地の把握に努めております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。スマート農業の一環となりますが、ICTで耕作放棄地の調査が全国で取り組まれております。兵庫県丹波市では、民間企業と連携し、人工衛星とドローンを使った耕作放棄地の調査が進んでおります。山間部で目視がしづらいところなど、負担軽減に役立っているそうです。さらに広島県尾道市と世羅町の農業委員会では、人工衛星から耕作放棄の可能性をAI診断とドローンを使い把握しているそうです。
そこで、お伺いします。調査にタブレットやドローンを活用するお考えはないか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 今年度、国の補正予算を活用してタブレット端末の導入を予定しており、次年度以降の調査に活用してまいります。また、ドローンを活用することで、山間部などに広がる農地を上空から一度に確認できる利点もありますので、今後の導入については調査研究をしてまいります。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) スマート農業の普及、転換に向けた取組を期待します。
次の質問にまいります。急激な円安や、ウクライナ危機に伴う家畜飼料の高騰や、化学肥料の高騰に対する農家の方々から悲痛の声をお聞きします。さらに、肥料高騰による多くの農作物の価格のさらなる上昇も懸念されております。
質問要旨(6)飼料高騰による畜産農家や、化学肥料高騰による農家への影響はどのようですか。また、行政として物価高対策はどのようですか、お伺いします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 飼料高騰による畜産農家の経営状況は厳しく、国や県による配合飼料の価格補てんが行われておりますが、乾草飼料などに対する補てんがない酪農・肉用牛については、2年前の令和2年4月から飼料代が1.5倍となり、このまま高騰が続くと経営の存続が危惧される状況にあります。また、肥料の高騰により耕種農家は生産コストが増加し、販売価格に転嫁できない農家は経営の悪化につながるものと考えます。
今年度、肥料の高騰対策として、国は肥料価格の高騰に苦しむ農家への影響緩和を図るため、化学肥料の低減に取り組む農家に対し、肥料代の支援事業を実施する予定であります。
今後の取組につきましては、国や県に対し補助事業等の要望を行っていき、農業者に有利となる補助事業の確保に努めてまいります。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。農家や酪農家に対するコロナ禍による需要が低迷する中の原材料高騰は経営を圧迫し、存続を脅かします。一刻も早い予算措置を講じることを願います。
畜産経営のコストに占める飼料費の割合は、40から65%とお聞きします。稲わらは、肥育牛・乳牛にとって重要な飼料です。国産が望ましいところですが、安定した調達も厳しい状況にあります。近年では、自給飼料を用いたブランド化の動きも見られますが、新たな取組として水稲、小麦、大豆などを栽培する農業法人が、稲発酵粗飼料である稲WCS(ホールクロップサイレージ)を栽培管理から収穫、調整、保管までの作業を一貫して行い、酪農家に販売する広域流通が注目されていますが、本市でも飼料高騰の中で稲WCSの取組を行っているとお聞きしますが、栽培面積の推移及び今後の見通しはどのようか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 本市における稲WCS、いわゆる稲発酵粗飼料の栽培面積は、平成30年度は4.7ヘクタール、令和元年度が4.6ヘクタール、令和2年度が5.1ヘクタール、令和3年度が4.6ヘクタールでありましたが、令和4年度は11.7ヘクタールと、飼料高騰に伴い大幅に増加しております。
今後も、輸入飼料の高騰が続くと推測されることから、稲WCSの栽培面積は増加するものと思われます。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 今後も、飼料の安定供給に向けた支援や取組を期待します。
何度も申し上げますが、本市の主要産業の1つは農業であります。しかし、不況や飼料などの高騰により離農されないよう対策する必要があります。新規就農者への支援事業はありますが、支援できる期間が定められており、安定的な営農を目指すには、安定的な補助事業も不可欠ではないかと考えます。市独自の支援制度、例えば営農の法人化、農地の規模拡大、スマート農業などへの補助を市独自にすべきと考えます。また、ほかの生産農家よりも補助の少ない花き生産者や植木生産者に対しても、化学肥料や除草剤、農薬などに助成すべきと考えます。
そこで、質問要旨(7)農業への市独自の補助事業について、どのように考えますか。花き生産者や植木生産者などにも除草剤や農薬の助成をしませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 本市の地域農業の持続的な取組や特産物育成の取組などに対し、引き続き支援を行っていく必要があると考えます。また、市独自の支援策につきましては、市内の営農組織が取り組む特産物のPR活動や、栽培技術向上への新たな取組に係る経費等に補助金を交付しております。
なお、除草剤や農薬に対する助成は考えておりません。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 本市は、全国でも有名な植木産地となっています。戸建て住宅は洋風化が進み、植木や石を使った日本の庭をつくるということが減少してきました。庭を造成する庭師においても、職人の担い手不足となりつつあります。以前の一般質問でも触れましたが、観光施策として集客力をアップするための旧近衛邸や尚古荘、国宝金蓮寺や吉良の菩提寺である実相寺や花蔵寺など、西尾の名所と言われるところに庭園の整備を、一流の庭師に新たに造園していただくことも活性化につながるのではないかと考えています。
また、本市には西尾鉢物出荷組合があります。生産者の皆様の不断の努力で売上は年々増加しているようでありますが、本市の新たなブランドとして全国にPRすべきと考えます。
再質問します。花きの需要が減少していると思いますが、新たな取組をしませんかお伺いします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 今年度、新たな取組としまして、「西尾の花販路拡大プロモーション」を実施してまいります。この取組は、バラ、カーネーション、デルフィニウム、キクといった西尾の花の魅力を広く発信するとともに、市内飲食店など、花屋以外でも販売できるような新たな販売スタイルを創出し、西尾の花の消費拡大を図っていくものでございます。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 新たな取組に大いに期待をしております。
まちづくりにおいて、市民の要望のトップには公園の整備があります。埼玉県伊奈町では、緑あふれるにぎわいのあるまちに暮らすことを目指しています。ちなみに、まちの花は西尾市と同じバラの花であります。シビックプライドの醸成の中で、地元への愛着を深めるための住民が関わる活動の充実のために、緑の快適空間づくりに取り組んでいます。緑豊かな住環境の中で、身近に水と緑と触れ合うことができる、自然環境に配慮したまちづくりが進められています。本市では、植木や花き生産が盛んであり、その技術を活かした公園の整備こそが、シビックプライドの醸成につながると考えております。そのような観点から、お尋ねいたします。
質問要旨(8)農業の活性化や地産地消、シビックプライドの醸成やブランド力の向上のために、花や緑があふれる公園づくりを推進しませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 花や樹木などは植栽後の維持管理に費用がかかり、本市では道路や公園の維持管理が十分にできていない状況でございます。しかしながら、地産地消やシビックプライドの醸成のため、公園に本市の花や樹木を植栽することは1つの方策と考えます。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 公園に花木があると心が落ち着きます。コロナ禍で疲弊した心身を、地域の方々と一緒に花壇の手入れや草取りをして地域参画、地域アイデンティティー、地域愛着を深めていくべきと考えます。少ない予算でも、既存の公園に花壇をつくることは可能です。今後、本市の花や樹木を活用するよう期待します。
最後の質問にまいります。春の景色といえば、きれいな桜色に併せて黄色いじゅうたんを敷き詰めたような一面の菜の花畑を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。市内では、三和地区や福地地区では菜の花栽培が盛んであります。菜の花による地域活性化は各地で見られます。県内では田原市の伊良湖菜の花ガーデンや、知多郡南知多町にある観光農園花ひろばや、日進市にある愛知牧場などが有名です。春の菜の花、夏のヒマワリ、秋のコスモスなど、一年中花木を眺めることができる最適地として、福地地区の優良な農地を活用して観光名所にすべきと考えますが、質問要旨(9)かつて福地地区で盛んに生産されていた菜の花を核にした「食・農・観」で地域活性化を目指しませんか、お尋ねします。
◯議長(鈴木正章) 産業部長。
◯産業部長(加藤英之) 福地地区の菜の花栽培を核とした取組は、食糧・農業と健康を守る西尾の会が実施しており、土壌改良材などの補助を行っておりますが、地域活性化を目指すとなると、広範囲での地権者の了承や作業担い手の確保など課題が多く、現在は考えておりません。
今年は、地域活性化の要因となるJAのファーマーズマーケットのオープンと、12月にはファーマーズガーデンが完成予定であり、今後さらに多くの来客が見込まれるため、この地区から一色さかな広場や道の駅にしお岡ノ山、地元農水産物を取り扱う飲食店への誘因を図るための事業を予定しております。
◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 先般、オープンしたファーマーズマーケットとファーマーズガーデンは、本市の観光の目玉となります。かつての憩いの農園の来場者は、年間70から100万人ありました。今後、さらに市外や県外から訪れる観光客の滞在時間を少しでも長くするために、西尾市の名産品を飲食することができて、ブランド化した苗木や花きを買って帰ってもらうなど、食・農業・観光などを活かした戦略でPRすることが望ましいと考えます。
「ちむどんどん」という朝の連続テレビ小説があります。「ちむどんどん」の意味は、沖縄県で主に使用されている方言で、胸がわくわくする気持ちという意味です。朝から、今日も元気に1日頑張ろうという気持ちにさせてくれます。行政も、その先には常に住民がいて、住民を笑顔にさせる「ちむどんどん」をもって、住んでいてよかったと思われる夢のある西尾市へ、また住民が主役のまちづくりに奔走してくださることを期待して質問を終わります。ありがとうございました。