令和4年12月定例会 12月1日

◯7番(中村直行) 新政令和の中村直行でございます。本日、最終の一般質問でございます。いい佐久島、いい西尾に向けて信念を持って質問をさせていただきます。理事者の皆様におかれましては、最後まで誠意のあるご答弁をお願いいたします。
 西尾市一色地区から南に8キロメートルの距離にあり、三河湾のほぼ中央に位置する、面積は1.81平方キロメートルであり、三河湾の離島中、最大である佐久島は、明治時代から太平洋戦争前までの人口は1,200から1,500人程度で推移し、1947年には過去最大の1,634人に達したが、その後は急速に減少しました。1975年、昭和50年から1980年、昭和55年には日間賀島や篠島の人口が横ばいだったのに対して、佐久島は年平均3.2%の人口減少が見られます。2005年、平成17年の人口は315人、2010年、平成22年は271人、2013年、平成25年は262人、2022年、令和4年11月現在で116世帯203人と、最大人口値の8分の1と人口減少に歯止めがかかっていません。また1980年、国勢調査での高齢者比率は23.4%でしたが、1990年の調査では35.5%、2000年調査では48.5%、2010年調査では49.8%と、急激に上昇をしております。
 今回、着目した点は、急激な高齢化に対する高齢者福祉施策についてであります。こちらのパネルを御覧ください。以下は、佐久島診療所の院長である酒井貴央先生の提供資料でございます。佐久島診療所にて受診されている方で、介護サービスが必要であろう方のグラフとなっております。事業対象者が1名、要支援1が12名、要支援2が4名、要介護1が1名、要介護2が2名となっております。酒井先生によると、佐久島の高齢者の大半は要介護1以下の介護予防が必要な人であり、佐久島においては介護予防が重要であるとのことでした。要介護度の低い人が、グラフのより右側に移動していかないように対策を講じることが、予算を効率的に使用して大きな効果を引き出すことにつながると考えられます。果たして、離島である佐久島の高齢者福祉が置き去りにされていないかどうか、そのような観点から1議題13項目について、佐久島の介護サービスに対するお考えをお尋ねいたします。
 議題1 佐久島における介護サービスについてお伺いいたします。
 質問要旨(1)佐久島いきいきサービスについて、事業内容や利用状況の詳細はどのようですか、お尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 事業内容は、佐久島在住で、原則として身の回りのことが自分でできる方を対象に、主に健康体操、健康チェック、カラオケ、ゲーム、作品づくりなどレクリエーションを行っており、週3日佐久島開発総合センターで、午後1時から4時まで開催しております。利用状況は、現在、参加者4名で、受診や体調不良のとき以外は、毎回参加していただいております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 介護予防につながるいきいきサービスの利用者が、わずか4名とは驚きました。私が島でヒアリングをしたところ、事業内容に余り魅力を感じないとの声もありました。例えば、自ら食べる分の農作物に生かせる技術講習や、お墓やお仏壇の花卉を植樹するなど、身になる、ためなる講座であれば参加したいとのことでした。農作業の前に準備運動やストレッチ、健康体操をすれば介護予防プログラムとして成立します。事業内容の見直しも検討され、島民のニーズを把握し、1人でも多くの参加を募れるよう工夫を凝らすべきではないかと考えます。
 次の質問にまいります。イ、いきいきサービスという枠組みを活用して、理学療法士などのリハビリテーションに関する専門的な職員を配置し、介護予防に努めないかお伺いします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 佐久島いきいきサービスでは、地域リハビリテーション活動支援事業を活用し、介護予防のために理学療法士の指導を実施しております。内容は、集団の運動指導と個別のリハビリテーション評価・指導でございます。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。既に理学療法士による指導を実施しているとのことですが、その詳細はどのようかお尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 年2回、西尾市内で働く理学療法士、作業療法士などで組織する西尾リハビリネットワークに講師の派遣を依頼し、利用者への健康に関するアドバイスと職員への指導を行っております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 年2回の健康に関するアドバイスで、満足できるサービスが提供できるのか疑問に感じます。第8期西尾市高齢者福祉計画・介護保険事業計画では、安心して利用できるサービス提供体制の構築がうたわれております。
 そこで、ウ、高齢者に関する行政の情報を、島内でどのようなネットワークを通じて共有していますか。また、本市は島内の高齢者からの情報をどのように入手して共有しているか、お尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 行政の情報は、広報、回覧板などのほか、地域包括支援センターの訪問や相談会、また従来からの地域のつながりを生かして民生委員が細やかに活動されており、そうしたものにより情報提供が図られております。島内の高齢者からの情報は、地域包括支援センター、介護事業所などが把握し、地域包括支援センターが開催する情報交換会において関係者間で共有しており、今年度は2回開催する予定です。また、地域包括支援センターでは、随時、民生委員や医療介護関係者と連携を図っております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。地域での見守り体制の強化こそが、介護予防につながるのではないでしょうか。また、島民と年2回で情報の共有が可能でしょうか。本土では、地域包括支援センター間では月1回の情報交換をしているとのことでした。島民の皆様と関係各所とが連携され、きめ細やかな情報交換がされることを切に願います。
 いきいきサービスを、今以上に充実させるためにどのようなことを考えていきますか。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 先ほど申し上げました相談会、情報交換会以外にも、長寿課担当者といきいきサービスに従事する職員との間で、必要に応じて随時、話し合いを行っており、これらの中で利用者の声を情報共有し、またサービス内容の維持向上を考えていくとともに、回覧などで島民にも参加の呼びかけをしていきたいと考えております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 認知症の最大の予防は外部からの刺激です。人との関わり、コミュニケーションこそが孤独感から解放します。いつまでも健康で生活ができるよう、さらなるいきいきサービスの充実をご期待し、次の要旨にまいります。
 続きまして、質問要旨(2)離島における介護サービスの利用について、お尋ねをいたします。
 先ほど、パネルでお示ししたように、潜在的に介護サービスを受けられるはずの方が、サービスを受けていない状況がありました。その中には、介護認定の申請が分からない、そもそも介護サービス事業のことを知らない方もおみえになります。高齢化率の高い離島の性質上、人的交流が少なく、情報が伝わりづらいのです。また、アドバイスや恩恵も受けづらい状況にあります。老老介護、独居世帯が増加を続けている、そのような観点からお伺いします。
 ア、島内で利用可能な介護保険サービスは、具体的に何がありますか。また、市長は、自分が佐久島に住むとしたらそのサービスで十分だと思いますか、お尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 介護保険サービスのうち、島内では訪問介護や訪問リハビリなどの訪問サービスや、必要に応じて福祉用具貸与や住宅改修などをご利用いただくことができます。
 一方、通所サービス、短期入所サービス、地域密着型サービス及び施設サービスを提供する事業所は島内には設置されていませんので、これらを利用する場合は本土に渡っていただく必要があります。こういった佐久島の現状からすれば、地理的要因による一部サービスの利便性の悪さもあり、必ずしも十分であるとは言えないと思っております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 島民の利用状況はどのようか、お伺いします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 利用状況につきましては、令和4年8月の実績で申し上げますと、要介護認定を受けている36名のうち、25名の方が介護サービスを利用されております。利用サービスの内訳につきましては、特別養護老人ホームや老人保健施設などの施設サービス利用者が7名、訪問介護や福祉用具貸与等の在宅サービス利用者が18名となっております。
 なお、要介護認定を受けている方と、サービスを利用されている方に差がありますのは、住宅改修ですとか、福祉用具の購入のときに介護認定を受けられて、その後、継続してサービスを受けている方がいらっしゃらないという部分が差になっております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 介護度の重い方は、本土の施設を利用されているということは理解できました。介護サービスを利用されてみえない方が、少しでも重症化しないよう取り組まれるよう願います。
 次の質問にまいります。イ、基準緩和型訪問介護サービスを佐久島の実情に即して、生活援助を利用しやすい形で若い島民の力を借りて提供できる仕組みを整備しませんか、お伺いいたします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 現在、総合事業の中で基準緩和型訪問サービスとして、西尾市社会福祉協議会ヘルパーステーション吉良のヘルパーが、島の利用者宅へ出向き、清掃、洗濯など身の回りの生活援助サービスを実施しております。若い島民の力を活用することについては、地域が主体となって活動する土壌や住民意識の醸成が重要であると思いますが、島における高齢化率の高さなどを考えると、担い手の確保は容易ではないと考えます。
 引き続き、地域包括支援センターを中心として、関係機関の情報交換会や島民を対象とした相談会、訪問などにより、高齢者のニーズの把握に努め、必要に応じて関係者と協議しながら体制の在り方を考えていきたいと思います。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 佐久島の高齢者は、自立して暮らされている方も多くいらっしゃいますが、高いところにしまってある物が取れない、2階に置いてあるものを取りに行けないなど、生活で困っていることもあるとお聞きします。全国国民健康保険診療施設協議会が作成する「離島における介護サービス体制の確保策と既存施策に関する手引き」によると、鹿児島県利島村では、介護サービス提供に向けての工夫として、地域おこし協力隊で看護師、介護福祉士等を募集し、生活支援コーディネーター(第2・第3層レベル)として設置しています。また、地域住民を高齢者見守り支援員(村独自)のプログラム受講後、支援員の活動として育成をし、報酬等を支払っています。取組の効果としては、地域の人材育成により、コミュニティケアを活用し、地域の中のつながりを大切にした取組ができると同時に、新たな人材を確保することで地域の社会資源が増えている、また各生活圏域で人口規模、人材等、地域資源も異なるものの、ほかの生活圏域におけるノウハウも生かしながら、地域の実情に合わせた展開を図っています。本市においても、離島における先進的なサービス確保に向けた取組を期待して、次の質問に移ります。
 これはホームページから抜粋したんですけれども、在宅の高齢者の生活支援と安否確認という項目でホームページにあります。配食サービスというところがありますが、ここを見ると(残念ながら配食業者がないため佐久島を除きます)とあります。市のホームページでは、高齢者配食サービスについて、佐久島は除外するとのことでありますが、ウ、高齢者配食サービスについて、佐久島が除外されている状況を直ちに是正すべきと考えますが、市長はどのようにお考えになりますか。
743◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。
744◯健康福祉部次長(酒井正樹) 過去には、島内にある店舗等が配食サービスを行っていましたが、10年ほど前に利用者が非常に少ないことなどから中止になりました。その後も島の情報交換会で検討されましたが、これまで有効な案が出なかったという経緯がございます。また、市では配食サービスの契約をしている業者に、島への配達が可能であるか聞き取りを行っておりますが、同様のサービスを行うためには負担が大きいということから困難であると聞いております。
 なお、契約業者以外では、自宅までの配達ではなく、佐久島港で受け取りをする形であれば配達が可能と言っている業者もあります。地域包括支援センターから情報提供もしておりますが、現在のところ配食の利用につながっておりません。このような状況から、直ちに佐久島を対象区域に含めることは難しいと考えておりますが、今後も、引き続きニーズの把握などに努めていきたいと思います。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。佐久島では、配食の事業者から高齢者宅までの配達が課題であると思いますが、どのような対応が必要と考えますか。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 佐久島港までの配達が可能な業者によりますと、港から高齢者宅までの配達をする担い手が確保できていないと聞いております。また、島内の飲食店が実施していたときも、利用者が少ない上に、配達まで行うと採算が合わなかったことも継続できなかった一因と思われます。配食の配達は、ひとり暮らし高齢者などの食事の提供をすることにより、見守りを行うことが目的ですので、長期に継続して活動できる方の確保が必要であり、そのためには島民の協力が不可欠であると考えます。配食サービスのニーズがどれほどかにもよりますが、実施していく際には、地域の理解を深めるとともに、有償を含めたボランティアの活用などを視野に入れながら、地域と一緒に有効な手だてを研究していく必要があると考えております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 酒井氏の話によると、栄養不足で医療用の栄養缶ドリンクで命をつないでみえる方もいるそうです。島には、食料が欲しいときにすぐ手に入るコンビニエンスストアはありません。飲食店とのやり取りも存じておりますが、10年以上も前の話で、当時の配食と現在の高齢者配食サービスとは性質が全く違います。そもそも当時、このサービスはありませんでした。利用者が少ないと、このまま放置され、あと10年もしたらどうなるでしょうか。生活援助として、まずは十分なニーズの把握や喚起がなされるべきと考えます。島から先の配達が難しいとのことですが、基本的人権の尊重に関わることでもあります。憲法25条では生存権を保障し、全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると記しています。有償ボランティアや地域おこし協力隊の活用を集うなど、早急な是正を提言し、次の質問にまいります。
 エ、市内介護サービス事業者の中で、佐久島をサービス提供地域から除外している業者があるようですが、そのような事業者を認可しないなど、強い姿勢を示すことが必要だと考えます。市長は、どのように考えますか。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 厚生労働省令で介護サービスごとに定められている事業の人員、設備及び運営に関する基準では、指定介護事業者は、事業所ごとに運営規定を定めることとされており、その中に通常の事業の実施地域も含まれております。実施地域については、事業者が任意に定めるものであること、離島においては、本土からの訪問に時間的・経済的負担が生じること、介護人材の不足により人的余裕がないことから、事業所に対し佐久島を事業の実施地域に入れるよう強制することは難しいと思われます。また、事業所が佐久島を実施地域に含めないことだけをもって、市がサービス提供事業所として認めないのは合理的な理由に欠くものと考えております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 特別地域加算や中山間地域等小規模事業所加算、また渡船料の補助だけでは事業者は参入できない大変難しい問題であると認識いたしました。後の質問で触れますが、離島等相当サービスが実施される環境整備が望ましいと考えます。
 次の質問にまいります。オ、今後、島内において在宅医療のニーズが増加すると考えられますが、離島における介護サービスについてどのようにお考えになりますか。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 本市では、平成30年に第7期西尾市高齢者福祉計画・介護保険事業計画を策定し、以来、地域包括ケアシステムの構築に向けて総合的な施策を進めてきたところです。地域包括ケアシステムでは、住み慣れた地域で、その人らしく最期まで生活していくことを目的としており、今後、島内においても訪問診療や訪問介護をはじめとする在宅医療のニーズが高まるものと認識しております。介護サービスのうち、訪問看護や居宅療養管理指導といった医療に係る居宅サービスは、現在も利用可能ですが、サービス需要の増加に伴い、離島であることを踏まえたサービス提供量の確保対策や、医療と介護の連携強化が今後の課題であると考えております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 在宅医療の推進によって医療と生活、病院と地域の関係性も変化し、ゼロ歳から100歳までの全ての方が住み慣れた地域、自宅で人生の最期まで元気に幸せに暮らせる社会が到来することを願ってやみません。課題の解決に向けた取組を期待します。
 次の質問にまいります。カ、都内で介護保険サービスを提供しやすいように、島外事業者の活動拠点として佐久島開発総合センターを再整備しませんか、お伺いします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 佐久島では、現在18名の方が、それぞれの生活に必要な居宅サービスを利用しながら住み慣れた環境で生活を送られており、こうした方を支える島外の介護サービス事業者には、島への往復にかかる渡船料を助成しております。現在のところは、既存のサービス提供体制の中で、一人一人に見合ったサービスを提供できるように調整していきたいと考えており、介護サービス事業者の活動拠点として佐久島開発総合センターを再整備することは考えておりません。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 先ほど来から申し上げたとおり、島民と医師、看護師、薬剤師、理学療法士(PT)のほかに、作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)の専門職、介護事業者や民生委員が、誰でも、いつでも横断的に情報交換の場所として機能できる場所が必要ではないかと考えます。既存施設の再整備ですから、予算も余りかかりません。現在の佐久島開発総合センターの名前を変えて、佐久島いきいきセンターにして、島内の福祉の拠点として再活用されることを期待します。
 続きまして、質問要旨(3)地域包括ケアについてお尋ねします。離島であることを踏まえたサービス提供量の確保対策や、医療と介護の連携強化が今後の課題であるとご回答のように、離島では介護サービスを提供されるために、医療分野と介護分野が包括的に連携して取り組まなければなりません。離島地域の最大の課題は人材確保であり、その方策例を提示する必要があります。そのような観点からお尋ねします。
 ア、他の市町村では、離島等相当サービスに関する条例を制定しており、地域の実情に合った介護サービスを提供するための環境整備を行っているようであります。本市においても、同様の地域包括ケアの理念に基づいた条例を制定し、佐久島において介護サービスを利用しやすい環境を整備しないかお尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、その人が必要な支援に対応し、さまざまなサービスを継続的、包括的に提供していくことが地域包括ケアの理念であり、各圏域の実情に合わせて地域包括ケアシステムの構築と地域共生社会の実現に向け、課題などに対応した取組を進めているところでございます。制度上、理念に基づき、離島等相当サービスを実施する場合は、市が条例を制定する必要はなく、実施事業者の登録などを規則で定めることになります。佐久島におきましては、一部の介護サービスの利便性に問題があることは認識しておりますが、現在のところ、必要なサービスは提供されており、直ちに島内に事業所を整備する必要性は高くないと考えております。しかしながら、今後、介護事業が増大し、島内に介護サービス事業所の拠点が必要となることも想定されますので、引き続きニーズの把握に努め、先進事例を参考に研究を重ねていきたいと思います。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 離島などの地域においては、特に専門職人材の確保が大きな課題として存在しています。既に、幾つかの取組を行っている地域もありますが、今後の人口減少(特に若年層)を鑑みて考え得る取組を提示する必要があります。例えば、1)資格取得を支援して地域内住民の有資格者を増やす方策、2)周辺地域とのネットワーク化を含む外部の有資格者を呼び込むような方策、また3)住民自体がインフォーマルな活動も含め、介護サービス提供者となるような方策として、具体的な情報提供や活動内容の提示が求められる。さらに、たとえ資源が乏しくても介護サービスを支えるために必要である、医療を中心とした介護サービス支援における国保直進の役割を明確化することが必要であると考えますが、イ、離島等サービス確保対策事業を活用してホームヘルパー養成など、介護人材の養成や確保支援をしませんか、お伺いします。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 離島等サービス確保対策事業は、島内において介護人材の育成等を行う場合に対象となるものです。今後、島内に事業所の整備が必要となった場合には、介護人材の確保に有効な手だてと思いますので、その活用を検討していきたいと思います。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 実は以前、島内の婦人会で、ヘルパー研修をみんなで受けに行ったことがあるそうです。ヘルパー2級有資格者はたくさんおみえになりますが、その方たちは、もう介護される側ぐらいの年齢になっております。積極的に介護人材の確保に努めてくださるよう願います。
 へき地医療拠点病院の病院は、無医地区の住民に対する巡回診療や、へき地診療所への医師の派遣などを行う病院です。西尾市民病院のへき地医療拠点病院化について、西尾市は愛知県保健医療局の自治医科大学卒業医師の派遣を受けております。佐久島診療所の酒井先生によると、西尾市民病院は、現在、へき地医療拠点病院ではないため、佐久島診療所と医療機材や人材の共有並びに診療の連携に支障を来しているとのことであります。へき地医療拠点病院が行う、へき地医療支援の取組が向上するような検討が必要です。へき地医療支援システム、へき地診療所の機能を強化するため、へき地医療拠点病院とへき地診療所の間にWeb会議システムを導入し、へき地医療拠点病院がへき地診療所の診療活動の支援が可能になり、診療時間外であっても医師や看護師が不在のときも、島民の方が安心して病気の相談ができるようになると考えられます。
 そのような観点から、ウ、西尾市民病院について、へき地医療拠点病院に指定されることを目指しませんか、お尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 市民病院事務部長。

◯市民病院事務部長(高山 崇) 佐久島診療所はへき地診療所に該当し、市民病院を含めて本市では医師を配置することが不可能なことから、地方自治法第252条の17の規定に基づき、愛知県から医師の派遣を受けております。また、何らかの事情により派遣された医師の勤務が困難なときには、へき地医療拠点病院である岡崎市民病院などから佐久島診療所へ代務医師が派遣されることになっております。
 へき地医療拠点病院は、市外のへき地診療所などに医師派遣等の支援を行うことが指定要件になっておりまして、当院が当該指定を受けることはできませんので、ご理解いただきますようお願いいたします。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。市民病院がへき地医療拠点病院の指定要件に該当しないことは理解できましたが、市の医療機関として、今後、佐久島にできる支援は何かありませんか。

◯議長(鈴木正章) 市民病院事務部長。

◯市民病院事務部長(高山 崇) 市民病院では、今年度、経営強化プランの策定を進めております。その中で、令和6年4月を目標に訪問看護ステーションを立ち上げる計画でございます。佐久島においては、当院を退院された方などに対し、診療所の対応及び民間サービス等が行き届かないケースがあった場合には、当院による訪問看護や訪問リハの提供ができるかどうかなどについて検討してまいります。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 今後は、在宅での医療や介護のニーズが増加されると考えますので、その点につきましても十分に検討されることを期待をします。
 最後の質問となります。エ、このようにサービスの種類と量には地域格差があり、本市の隅々まで十分な介護サービスが行き届いていない現状について、市長はどのようにお考えになりますか。

◯議長(鈴木正章) 健康福祉部次長。

◯健康福祉部次長(酒井正樹) 議員のご指摘のとおり、サービスの種類と量につきましては、現状、地域格差があることは否めません。各地域で、誰にとっても、より身近に受けたいサービスがあることが理想ですが、広い市域全体に一律にサービス提供事業所を整備するのは困難と考えます。ただし、各事業所は、所在地域のみでなく一定の範囲でサービスを提供しており、住んでいる地域にかかわらず、必要なサービスが確保されるよう体制の整備に努めております。
 なお、来年度の第9期西尾市高齢者福祉計画・介護保険事業計画策定の際には、令和6年度から3年間のサービス需要量の見込みを行い、それに対応するサービス提供体制を確保していきたいと考えております。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。検討に当たり、佐久島の医療介護というテーマで、関係される有識者に協力していただき、専門委員会を設置してもいいかもしれません。
 最後に、市長にお尋ねをいたします。これまでの状況を踏まえて、市長は、介護や高齢者を取り巻く離島の諸問題についてどうお考えになりますか、お尋ねします。

◯議長(鈴木正章) 市長。

◯市長(中村 健) 西尾市では、これまで全ての高齢者が尊厳を保ちながら多様な社会参加を果たし、また必要に応じて希望するサービスを受けながら、生涯にわたって住み慣れた家庭や地域社会において、健やかに安心して日常生活を送ることができる地域づくりを目指してまいりました。佐久島においても、離島という地理的要因から、さまざまな制約が生じることは否めませんが、他の地域と同様に住み慣れた地域で、その人らしく最期まで生活していただきたいと思っており、そのためにはサービスの提供体制をしっかり確保していく必要があると考えます。しかし、それは行政の力だけでは成し得るものではありません。地域課題を解決していくためには、そこに暮らす方々の主体的な参画と相互の支え合いが不可欠であります。
 今後も、離島の課題も踏まえながら、市域全体において行政及び関係機関と地域が連携をして、誰もが安心して生き生きと暮らせる地域共生社会の実現に努めたいと思います。

◯議長(鈴木正章) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) ぜひ、市長におかれましては、行政のトップとして課題の解決に向けて邁進していただき、サービスの提供体制をしっかりと確保されることを心より期待しております。
 目指すべきは、最後の1人を見捨てない社会の実現であります。佐久島で地域包括ケアを試行錯誤する経験が人材育成となり、西尾市内全域で県内トップクラスの医療介護提供体制の整備に発展していくことを期待して質問を終わります。ありがとうございました。