2023-09-06: 令和5年9月定例会(第4号) 本文

◯7番(中村直行) 新政令和の中村直行でございます。通告に従いまして、2議題14項目について一般質問をさせていただきます。理事者の皆様におかれましては、市民に寄り添った誠意あるご対応をよろしくお願いを申し上げます。
 議題1 地域共生社会の実現を目指して(重層的支援体制整備事業について)であります。
 共生社会とは、性別、年齢や障害など、人それぞれの違いを自然に受入れ、支え合い、互いに認め合う社会のこと、障害のある人が受けてきた差別や虐待、隔離、特別なものとして見られるといった行為は共生社会ではあってはいけません。障害がある人も基本的な人権を持っていると認め、障害だからできないという状況をなくすことが共生社会の考え方です。共生社会の例として、次のような取組があります。障害者と健常者が一緒にスポーツを楽しむパラリンピックやボッチャなどのパラスポーツ、これらのスポーツは障害の有無や程度に関係なく誰でも参加できるように、ルールや用具が工夫されています。パラリンピックは、共生社会の実現を掲げており、多様性を認め合う社会の象徴とも言えます。
 また、性別や性的指向などの違いを肯定するダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)、企業や団体などでは女性やLGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・クィア)などの総称のマイノリティーの人材を活用し、差別や偏見をなくすための取組を行っています。加えて高齢者や障害者など、さまざまな属性の人が地域で暮らしやすいように支援する地域共生社会があります。制度、分野ごとの縦割りや支え手、受け手という関係を超えて地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域を共につくっていく社会を目指しています。
 パネルを御覧ください。包括的な支援体制と重層的支援体制整備の位置づけであります。こちらは厚生労働省の資料ですが、国は地域共生社会の実現をするためには、地域福祉(地域での社会福祉)の推進は、住民一人一人が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、さまざまな活動に参加する機会を確保するように努めなければならないと、地域福祉推進が社会福祉法第4条で定められております。厚生労働省は、令和3年4月から社会福祉法の一部改正により、重層的支援体制整備事業第106条の4を開始し、相談支援や参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施しています。また、全国各地で地域共生社会の実現を目指したさまざまな事例が展開されています。この議題におきましては、国が推進される重層的支援体制の整備に視点を置いてただしてまいります。
 この事業の創設は、これまでの福祉制度・政策と、人々の生活そのものや生活を送る中で直面する困難、生きづらさの多様性、複雑性から現れる支援ニーズとの間にギャップが生じてきたことを背景としています。日本の社会保障は、人生において典型的と考えられる課題解決を目指すという基本的なアプローチのもとで発展をしてきました。このため、日本の福祉制度・政策は子供、障害者、高齢者といった対象者の属性や要介護、虐待、生活困窮といったリスクごとに制度を設け、現金・現物給付の提供や専門的支援体制の構築を進めることで、その内容は質・量ともに充実をしてきました。
 一方で、人々のニーズに目を向ければ、例えば社会的孤立をはじめとして、生きる上での困難、生きづらさはあるが、既存の制度の対象となりにくいケースや、いわゆる8050やダブルケアなど、個人、世帯が複数の生活上の課題を抱えており、課題ごとの対応に加えて、これらの課題全体を捉えて関わっていくことが必要なケースが明らかとなっています。このような困難、生きづらさの多様性や複雑性は以前も存在をしていました。しかし、かつては地縁、血縁、社縁などの共同体の機能がこれを受け止め、また安定した雇用等による社会保障が強かった時点では、福祉政策においても強く意識されてこなかったのだと考えられます。しかし、日本社会を特徴づけていた社会の在り方が変わり、それに伴って国民生活も変化する中で、さまざまな支援ニーズとして現れてきています。そして、これまでの福祉政策が整備してきた子供、障害者、高齢者、生活困窮者といった対象者ごとの支援体制だけでは、人々が持つさまざまなニーズへの対応は困難となっています。
 その一方で、地域のさまざまな動きに目を向けると、人と人とのつながりや参加の機会を生み育む多様な活動を通して、これまでの共同体とは異なる新たな縁が生まれています。その中には、特定の課題の解決を念頭に始まる活動だけではなく、参加する人たちの興味や関心から活動が始まり、それが広がったり、横につながったりしながら関係性が豊かなコミュニティが生まれてくる活動もあります。厚生労働省では、社会の変化に伴って生じている課題と、今後の可能性の両方に目を向けて重層的支援体制整備事業を設計しています。愛知県内で、この事業に取り組む自治体は5か所あり、それは豊田市、岡崎市、長久手市、大府市、そして東海市であります。手を挙げて取組を準備している市町村も含めると、合計で14市町村になります。全国では、189もの自治体がこの事業に取り組んでおり、全国の1,718市町村中、約11%が参加しているとされています。この数字は、今後も増加していくと考えられます。
 パネルを御覧ください。重層的支援体制整備における各事業の概要として、市町村全体の支援機関、地域の関係者が断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに属性を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援の3つの支援を一体的に実施することを必須にしています。重層的支援体制整備事業における各事業の内容については、社会福祉法第106条の4第2項に規定しています。3つの支援を第1号から3号に規定し、それを支えるための事業として、第4号以降を規定しています。それぞれの事業は、個々に独立して機能するものではなく、一体的に展開することで一層の効果が出ると考えています。
 1番の包括的相談支援事業としては、属性や世代を問わず包括的に相談を受け止め、支援機関のネットワークで対応し、複雑化・複合化した課題については適切に多機関協働事業につなげていくことが規定されています。2の参加支援事業では、社会とのつながりをつくるための支援を行い、利用者のニーズを踏まえた丁寧なマッチングやメニューをつくり、本人への定着支援と受入先の支援を行うことが挙げられております。3、地域づくり事業では、世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備し、交流参加・学びの機会を生み出すために個別の活動や人のコーディネートや、地域のプラットホームの形成や地域における活動の活性化を図ること、アウトリーチを通じた継続的支援事業では、支援が届いていない人に支援を届け、会議や関係機関とのネットワークの中から潜在的な相談者を見つけて、本人との信頼関係の構築に向けた支援に力点を置いてあります。5番、この施策のポイントでもある多機関協働事業では、市町村全体で包括的な相談支援体制を構築し、重層的支援体制事業の中核を担う役割を果たし、支援関係機関の役割分担を図ることが規定をされております。複合・複雑化した支援ニーズに対応する市町村の、断らない包括的な支援体制の整備を求めるものであります。そのような観点から、お尋ねをいたします。
 質問要旨(1)といたしまして、重層的支援体制整備の概念とその地域社会における重要性について、本市はどのようにお考えになりますか。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 重層的支援体制整備事業は、市町村において対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施することにより、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備するための、1つの有力な手段と位置づけられております。ただいま、議員がご説明していただいたとおりだと思っております。
 一方では、市町村全体の支援関係機関で体制を構築するものであり、新しい窓口をつくることではないと説明をされております。また留意事項として、重層事業の形式のみにとらわれると関係者の負担感が増幅し、体制構築が進まないことから、少なくともなぜ「我がまち」に重層事業が必要なのかの理解や、その取組を行うことの合意を庁内外で得ておくこと、地域の実情に応じた事業設計をすることが必要なプロセスであると示されております。本市としては、既存の相談支援体制を生かしながら、介護、障害、子育て、生活困窮などの分野において、地域住民及び関係機関による地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制づくりが重要と考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) これまでの福祉制度は高齢者、障害者、子供といった分野ごとの専門的な支援を充実させてきました。ところが、分野ごとで一種の縦割りであったため、相談時にたらい回しにされた、どこに相談していいか分からない、相談先がないなどの問題がありました。そこで、どんな相談もワンストップで受ける、断らない窓口の設置や継続して寄り添う伴走型支援などの包括的な支援体制の構築を目指すべきと考えます。
 質問要旨(2)に参ります。先進的な自治体での重層的支援体制整備事業の具体例はどのようか。また、その効果をどのように考えているかお尋ねします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。
355◯健康福祉部長(酒井正樹) 近隣市では、岡崎市を例に挙げると、令和3年4月に庁舎内のレイアウトを変更し、妊娠、出産から子育て、保育園・児童育成センター入所に関することなど、子供や子育てに関する相談は「こども子育てサポートフロア」に集約し、また介護予防、介護、障害、生活困窮、医療費など子ども分野以外の福祉に関する相談は「ふくし総合サポートフロア」に集約されました。さらに、令和3年に新設した「ふくし相談課」には、多機関協働事業者、参加事業者、アウトリーチなどを通じた継続的支援事業者、生活困窮者自立相談支援機関、基幹型地域包括支援センターなどの窓口を集約されてみえます。
 重層事業に移行したとしても特定の部署が全て引き受けるわけではなく、具体的な支援は専門的な部署が担うことになり、そのつなぎを速やか確実に行うことが肝要ですが、岡崎市の場合は物理的に集約することで関係課の連携が取りやすく、相談者にとっても分かりやすい体制になっていると思います。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 一般論でありますが、小規模自治体の場合、全ての福祉担当が同じフロアに集まり、担当者も日頃から顔を合わせて関係性ができていることから、連携コストは比較的に低いと言われています。1人の職員が複数分野の業務を兼務しているケースも多いので、連携の必要性があまりないということもあるかもしれません。こうした自治体では、縦割りの弊害は生じにくいと言えるかもしれません。しかし、一方で、小規模自治体では支援体制が俗人的になりやすいという特徴があります。職員が異動しても、今と同じような機能を果たせるでしょうか。組織として体制や仕組みを確保しておけば、職員の異動があっても一定の期間を継続して果たしていくことができます。そのために、重層的支援体制整備事業を活用することも考えられます。
 また、重層的支援体制整備事業を活用してアウトリーチ機能を強化し、地域づくりを通じて人と人とのつながりを豊かにしていくことは、ケースを早期に把握できる可能性を高めます。ケースに対し、連携して支援することは既にできている場合でも、予防的な取組を強化するために重層的支援体制整備事業を活用する方法もあります。さらに小規模自治体では、特定の職員の負担が過大になっている場合もあります。兼務は連携コストを小さくするメリットはありますが、取組を充実、強化するには体制として限界があります。重層的支援体制整備事業に設けられている各事業は、それぞれの目的に応じた人材を確保するための予算獲得の手段と考えることもできます。重層的支援体制整備事業を活用した人員体制の強化も積極的に検討すべきと考えます。
 続いて、質問要旨(3)に参ります。本市の現在の支援体制と比較して、重層的支援体制整備事業がもたらす主な改善点をどのように考えていますか。また、重層的支援体制を整備する際の最も重要な成功要因をどのように考えているか、お尋ねします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 本市では、現在も各専門分野での相談支援、参加支援、地域づくり支援、多機関による協議会などに取り組んでいるとともに、複合的な問題については必要に応じて横断的なケース検討を行い、各機関の役割を確認しながら支援を行うなど、重層的支援に必要な基本的機能は備えております。事業の枠組みにとらわれず、さまざまな支援機関との連携を本市の強みとし、包括的な支援体制を築いていきたいと考えております。その中で、改善点としては、どこに相談したらよいかと迷わせないことが必要であり、各窓口が広い視野で相談を受け止めるとともに、速やかに関係機関で情報を共有する仕組みが必要と考えます。また、重層事業に移行した場合、国の補助金が一体化し、分野を越えた活動がやりやすくなるというメリットがあります。
 整備の重要な点としては、包括的な支援体制を持続可能なものとしていくことが求められ、そのためには庁内における合意形成と連携強化、及び調整機能を担う人材の育成などが必要であると考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) どこに相談したらよいか迷わせないことが必要であると理解をしました。こちらのパネルを御覧ください。岡崎市では、相談先が分からない福祉に関する相談窓口を効率よく利用するために、お困りごと相談連絡帳を作成しています。この連絡帳は「ふくサポスト」、ふくサポとポストを掛け合わせた造語なんですけれども、市内全ての郵便局の窓口A4版と、ATM・A5版にチラシを設置しています。ふくサポの掲示内容は、福祉相談課の連絡先や高齢者介護に関する相談先、障害・難病に関する相談先、子供に関する相談先、仕事に関する相談先、お金・住まいに関する相談先、年金に関する相談先、外国人・性の多様性に関する相談先、医療関係に関する相談先、DVの相談先、心の悩みに関する相談先、法律に関する相談先、夜間対応、SNS、LINEの相談もしております。多種多様な相談ごとが一目で分かるような取組が行われています。お困りごとは福祉相談課に集約され、つなぎの役割を果たしています。
 なお、広告収入は協賛金により作成しているそうで、ゼロ予算で運営もされている工夫がありました。本市でも、初めに断らない支援体制の整備を目指し、地域共生社会の実現に近いところから取り組むことを願っています。
 質問要旨(4)といたしまして、多機関協働事業として、多様な関係者・関係機関と連携した地域支援の具体的な取組はどうあるべきだと考えていますか。また、他の自治体での取組事例はどのようですか、お伺いいたします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 包括的相談支援事業が受け止めた相談のうち、単独の支援関係機関では対応が難しい複雑化・複合化した事例は、多機関協働事業につなぐことになります。その際には、相談者に十分な説明をするなど丁寧な対応、配慮が必要です。多機関協働事業では、具体的な取組として、相談を受け付け、アセスメントを行い、その結果を踏まえ支援関係機関の役割分担や支援の目標、方向性を整理したプランを作成し、必要な支援を行うという流れになると考えます。取組を進めている岡崎市では、さまざまな分野にまたがる複合的な課題については、多機関協働事業において支援調整や支援プランの作成を行い、多機関による包括的な支援ができるよう努められているとのことです。また、プランの適正性の協議やプラン終結時などの評価については、重層的支援会議を設置して協議、検討をされております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。本市では、単独の支援関係機関では対応が難しい事例について、多機関との情報共有をどのように行っていますか、伺います。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 本市では、関係者でケース会議を開催するなどして情報共有を図るとともに、それぞれの役割を確認しながら具体的な支援の方法を協議しております。また、いげたネットを活用して連携を図っております。これは、医療機関、歯科医院、薬局、訪問看護ステーション、介護保険事業所、行政などが相互に情報共有をしながら支援できる多職種の情報連携ツールで、同システムを導入している近隣市町とも市を超えた広域連携ができることも特徴です。運営主体は、西尾市在宅医療介護連携支援センターであり、事業の1つとして、いげたネットのつながりをもとに、各機関が課題や事例を持ち寄って意見交換を行う多職種協働カンファレンスを月2回実施しており、テーマによっても違いますが、毎回50人前後の参加があります。このような取組を通して、地域包括ケアシステムの構築を目指しております。
 なお、多機関連携の前提として、個々の相談支援機能の基盤強化が重要であり、障害のある方に対する各種相談や情報提供などの支援を強化し、総合的に行うため基幹相談支援センターを設置し、本年10月からの稼働を予定しております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 既に取り組んでいる多機関協働事業やいげたネットの活用、そして多職種協働カンファレンスの実施など、非常に先進的な取組をされているようです。それに加えて、基幹相談支援センターの設置も計画されているとのことで、全体的に非常に積極的なアプローチをとっていると感じます。
 一方で、さらに効果的な多機関協働事業にするために、以下のようなことは考慮されるといいかもしれません。地域住民や利用者からのフィードバックを定期的に集める仕組みを設けて改善に生かし、ケース会議や多職種協働カンファレンスに地域住民や関係機関が自由に参加、意見提供できる場を設けることや、いげたネットをさらに活用し、専門家や研究家も巻き込んで、より質の高いサービスを提供できるようにする。また、本年10月から稼働する基幹相談支援センターと既存の多職種協働事業やいげたネットとの連携強化をすべきと考えます。
 また、ほかの市町との連携もいいですが、さらに広域でのネットワークを強化し、成功事例やノウハウを共有するなど考慮することで、多機関協働事業が一層効果を発揮し、地域包括ケアシステムの構築に資すると思います。
 質問要旨(5)に参ります。本市が重層的支援体制整備事業に取り組む際の予算について、具体的な計画や見積りがあるかどうかお尋ねをします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 現状では、国から示された関係資料や先進自治体の取組を参考に研究している段階ですので、予算の見積りや具体的な計画というのは今のところありません。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 現段階では計画や予算はつけられていないとのことでありますが、国はさまざまな課題を有するものの支援について、市町村が創意工夫を持って円滑に実施できる体制を整備するために、重層的支援体制整備事業の交付金が創設をされています。
 質問要旨(6)といたしまして、本市が重層的支援体制整備事業に取り組む際の、国から分配される交付金はどのようかお伺いをします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 重層的支援体制整備事業交付金の交付対象は社会福祉法の規定に基づき、重層事業として実施される包括的相談支援事業、地域づくり事業、多機関協働事業などで、交付額の算定方法、交付の条件など詳細は交付要綱で定められております。
 なお、重層事業に含まれる各分野の既存事業分については、それぞれ従来と同様の扱いになります。また、新たな機能分の補助率は、令和5年度で言いますと国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1とされております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 交付金の詳細については、交付要綱で定められていると、よく理解をしました。市町村4分の1ということですね。今までの事業は引き続きやって、新しい分野には市は4分1の負担でいけるということであります。この交付金を効果的に活用することは、私たちの地域社会にとって非常に重要です。重層的支援体制整備事業において、多機関協働事業や包括的相談支援事業などがどれだけ効果を発揮するかは、この交付金の使い方次第です。重層的支援体制の整備は、包括的な支援体制整備の中に含まれており、現在の仕組みをリノベーションしたものであります。あまり難しく考えずに、介護や生活困窮、障害や子育て事業は現在のままにして、新事業に当たる参加支援事業、アウトリーチなどを通じた継続的支援事業、多機関協働事業に当たる部分に人件費を含めた予算が交付をされます。
 先日の8月22日に、友人である岡崎市議の紹介により、福祉部ふくし相談課の齊藤課長とお話の機会を得ました。岡崎市が、この事業を推進するに当たってのキーポイントは人材の確保であり、特に体力とメンタルが強い職員を庁内全体から集めたということでした。いざ、現場に足を踏み入れると、障害者支援を求める相談者の背後には、両親の介護の問題やお子さんの精神障害の疑いが未受診であったということもあるそうです。ほかにも、ネグレクトや生活困窮といった世帯全体の問題が潜んでいます。どこに相談すべきか分からず、総合的な解決が必要なケースも多いと聞いております。また、複雑な問題に職員を巻き込まないよう配慮することも重要だと指摘もありました。
 最後に市長にお尋ねをいたします。過去に何度か重層的支援体制の整備についてのご見解を示されましたが、現在の国や県の動向、さらには近隣市の取組、特に長久手市では市長直轄組織として縦割りの弊害を減らす地域共生推進課を設置しています。
 以上の点を考慮に入れ、本市における重層的支援体制の必要性について、市長の理解と認識はどのようですか、お尋ねをします。

◯議長(本郷照代) 市長。

◯市長(中村 健) 重層的支援体制は、地域共生社会の基盤となるものであり、その本質は、縦割り行政の弊害をなくし、制度の狭間にある人も含め、どんな相談でも受け止める「断らない相談支援」を行うものであると認識しております。これまでも各専門分野での相談支援体制は、その充実に努めてきたところでありますけれども、不安な社会情勢や地域のつながりの希薄化などを背景に、人々が抱える問題というものは複合化・深刻化しておりまして、単独の機関では抱えきれなくなっているのが現実かなというふうに思っています。また、8050ですとか、ヤングケアラーといった、これまで見過ごされてきた問題もクローズアップされてきておりまして、従来の行政の仕組みではなかなか対応が難しいというところであります。
 こうした課題に立ち向かうためには、国が推進する重層的支援体制の構築というものは有効な手段であると考えております。ただ、その組み立て方というものは一様ではないようでありまして、西尾市としての強みが何であるかということをよく考えて、その強みを生かしながら、西尾市の実情に合った包括支援の体制を模索していきたいと考えております。また、それに当たりましては、西尾市社会福祉協議会が今後、地域との連携強化や福祉総合相談の取組を課題としておりまして、その動きに期待するとともに、関係機関や意欲のある事業者などの民間の皆様の意見もしっかりとお聞きをしてまいりたいと考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 西尾市としては研究して、一歩でも前に進めていくということだと思うんですけれども、私は、この事業の推進が必要であると強く主張したいと考えております。総論についての市長の考えは十分に理解しておりますが、今後の福祉行政のさらなる発展と、地域住民が抱えている何かしらの生きづらさをどのように気づき、どのように寄り添うのか、誰一人置き去りにしないという市政の基本方針に従い、具体的な取組が急務であると信じています。
 次の議題に参ります。議題2 フレイル予防の取組で介護予防の推進について、お尋ねします。
 フレイルとは、医学用語であるフレイルティの日本語訳で、病気ではないけれども年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい健康と要介護の間の虚弱な状態のことです。しかし、フレイルであることに早めに気づき、フレイル対策の3つの柱である栄養(食・口腔)、運動、社会参加に取り組めば元の状態に戻ることもできます。日本老年学会が2014年5月に提唱しました元気な高齢者の活躍を促すため、フレイル予防改善プログラムを開発した上で、通いの場やサロンへの専門職(管理栄養士・歯科衛生士)などや、配食事業者の関与を促進し、口腔機能の向上と栄養状態の改善に向けた取組を強化すべきと考えます。
 フレイルの進行により、幸せと感じる気持ちが低下します。フレイル予防を推進して、高齢者や障害を持つ人々に対して、社会生活を自立的に営むために必要な機能の維持及び向上のための施策を提案し、本議題ではフレイル予防の取組について、介護予防の推進状況をただしてまいります。
 質問要旨(1)に参ります。まず最初に、フレイルの状況と現状について。
 アといたしまして、本市におけるフレイルの現状、特に高齢者におけるリスクと課題はどのようか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) フレイルとは、今、ご説明いただいたように加齢に伴う虚弱な身体状況を指す言葉ですが、本市の特徴としましては、運動機能の低下が挙げられると思います。高齢になれば誰にでも起こる一般的な症状ですが、市が実施している健康診断の際の後期高齢者の質問票からは、「ウォーキング等の運動を週に1回以上」の割合は、県や国のそれと比較して低い年代が多く、さらに「この1年間に転んだ」の割合は、高い年代が多いという状況が見られます。フレイルにおける最も注意すべき症状は、転倒、骨折です。ほかにも低栄養、口腔機能の衰え、認知機能の低下、外出機会の減少などが挙げられ、これらを見過ごしていると、さらなる心身機能の低下を生じるおそれがあります。高齢者が身近な場所で体を動かせる機会を設け、健康な状態を維持していくことが必要と考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) イといたしまして、フレイル予防と対策の重要性について、市民の認識向上につながる施策はありますか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 一般介護予防事業で実施しているシルバー元気教室では、健康体操や健康維持のための講座を実施しており、フレイル予防の重要性を啓発しております。また、まちの体操教室では、ストレッチや筋力アップ、体操を実施していますが、これもフレイル予防を主な目的に実施をしているものです。介護予防事業全般に言えることですが、外出を促し、教室などに参加することで健康状態を少しでも維持し、介護状態になることを防止することがフレイル予防につながるものと考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) シルバー元気教室やまちの体操教室のようなプログラムは、確かに高齢者のフレイル予防に大いに寄与していると思います。ただ、現状のプログラムでは一部の高齢者しか参加できない可能性があります。例えば、交通手段が不便な場所に住む高齢者や、既に体力が落ちて外出が困難な方々です。このような問題を対処するために、地域内のシャトルサービスの提供やオンラインでの教室の実施は考慮されているのでしょうか。また、事業の効果を評価するために、どのような指標や調査が行われているのでしょうか。長期的な健康状態の改善や介護が必要な状態になるケースの減少など、具体的なデータがあればより有効なプログラムになると思います。
 ウといたしまして、本市のフレイル予防と対策における長期的な戦略と目標はどのようですか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) フレイル予防は本市のみならず、全国の自治体で何らかの対策を実施しているところです。本市におきましても、要支援1・2の方、65歳以上の全ての方を対象とした介護予防・生活支援サービス事業、一般介護予防事業からなる総合事業を通してフレイル予防を図り、今後も高齢者の健康維持に努めていきたいと考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 既存の介護予防・生活支援サービス事業や一般介護予防事業によって、フレイル予防を行っている点は評価をいたしますが、さらに具体的な戦略や取組を明らかにしてはいかがでしょうか。
 質問要旨(2)といたしまして、健康づくりや介護予防活動のための具体的なプログラムとサービスはどのようですか。また、市民への健康増進の啓発や教育の取組についての計画はどのようか、お尋ねします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) プログラムとしては、地域包括支援センターに委託して行うシルバー元気教室は、65歳以上で介助なく参加できる方を対象に、市内22会場で月2回開催し、健康体操、体力測定、栄養・お口・認知症予防の健康講座、レクリエーション、健康相談などを実施しております。また、まちの体操教室も同センターにより、41会場で毎週、参加者の運営協力を得て実施しております。
 さらに今後は、高齢者通いの場に医療関係者派遣し、フレイル予防を含めた健康講座を実施していく計画をしております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 健康促進と介護予防に関する取組は非常に重要であり、本市は積極的に各種プログラムとサービスを展開されています。特にシルバー元気教室やまちの体操教室は高い参加率と評価を得ており、多くの市民の健康に関する意識を高めています。
 今後の高齢者通いの場に医療関係者を派遣し、フレイル予防を含めた健康講座を実施していく計画にご期待をいたしまして、次の質問に参ります。
 質問要旨(3)高齢者と共に生活する家族やコミュニティへの支援、教育、相談体制はどのようですか。また、高齢者が地域社会と共生して活動するためのサービス提供はどのように進めるべきとお考えですか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 市では、高齢者が住み慣れた場所で自立した生活が送れるよう、医療、介護、日常生活支援などが包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めております。その中心拠点として、市内7か所の地域包括支援センターが総合相談、権利擁護、介護予防ケアマネジメントなど、家族からの相談も含め、高齢者一人一人に合わせた総合的な支援を行うほか、地域社会と共生していくための民生委員や町内会との支援体制づくり、地域住民への介護予防などさまざまな事業を行っております。
 また、今後のさらなる高齢化率の上昇に備え、高齢者を地域で見守り、支え合う体制づくりを進める取組に力を入れていくことが重要と考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 地域包括ケアシステムの構築が進行中であり、それが高齢者と家族、コミュニティ全体のサポートに寄与していると理解をいたしました。総合相談や権利擁護、介護予防など多角的なアプローチがとられている点は評価できます。ただ、高齢者が地域社会とどのように共生していくかに関する具体的な計画や施策は明示されていないように感じます。特に家族やコミュニティが高齢者をどのようにサポートしていくのか、その点について、もう少し詳細を知りたいと考えております。
 再質問します。地域包括支援センターから見た総合相談はどのようか、お尋ねをいたします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 地域包括支援センターにおける総合相談では、高齢者本人と家族のほかに医療機関、居宅介護支援事業所、民生委員などからさまざまな相談が寄せられます。内容は、介護保険サービス、医療と健康、認知症、介護予防事業に関することなど多岐にわたっております。地域包括支援センターは、このような地域住民などの困り事を支援するため、関係機関との連携を図っており、その取組として市を通じて毎月、各センターとの連絡会議を実施し、情報交換や課題検討を相談事例も交えて行っております。また、地域ケア会議も行い、同センターの職員や介護支援専門員、医療・介護などの多職種及び地域住民も交えて、個別事例の検討や地域課題の発見とその対応などを協議しております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 地域包括支援センターの取組については、非常に評価できる点が多いと感じております。特に、多職種や地域住民を巻き込んでの地域ケア会議は、広範なニーズに対応する重要な手段であります。
 今後も、総合的な相談ごとの情報共有に努め、改善や拡充を進めることで、より多くの地域住民や感じる課題に対応できると思います。
 次の質問に参ります。独り暮らしの高齢者の割合が日本一の東京都豊島区では、令和元年度より高齢社会に向けた「としま総合戦略」、日本一の「高齢者にやさしいまち」に向けた取組をされています。独り暮らしでも安心して社会的孤立ゼロで100歳まで健康に暮らせるように、誰も孤立させない、みんなが生き生きと健康で安心に暮らせるまちをテーマに、区民フレイルサポーターを展開されておりますが、質問要旨(4)といたしまして、本市におきましても、フレイルチェック事業として「市民フレイルサポーター」を養成していくお考えがあるかどうかお伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) フレイルサポーターの養成は今のところ考えておりませんが、市では、地域包括支援センターが地域住民から相談を受けた場合、自宅を訪問し、その際に介護予防基本チェックリストを用いて健康状態の把握を行います。シルバー元気教室においても、毎月の血圧測定や基本チェックリストによる日常生活チェックを年1回行っております。また、長寿課が実施しているころばん教室でも、簡単な体力測定などを行い、高齢者の健康状態の把握に努めております。これらの事業によって、現時点ではフレイルチェックの支援体制はとれているものと考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 再質問します。市民フレイルサポーターの養成は今のところ考えておらず、現時点ではフレイルチェックの支援体制がとれているとのご見解ですが、本市も西尾市の総合戦略として展開されることを願います。
 また、豊島区では、専門職が区内の施設を定期的に巡回し、区民の方が自由に利用できる健康相談会を開いています。65歳以上の豊島区民であれば、どなたでも日常的な心や体に関するお悩みや生活に関するお悩みを、各区民広場やセンターを巡回する専門職、保健師、管理栄養士、リハビリ職、看護師、歯科衛生士、認知症地域支援推進員などに相談することが可能であります。フレイルを経て、要介護に至る前に体や心、生活のちょっとしたお悩みをまちの相談室でご相談し、介護予防に役立てています。本市においても、全国的に展開されるまちの相談室や民間企業と協働して「まちの保健室」に取り組み、さらに介護予防を充実させる考えがあるかどうかお尋ねをします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) まちの保健室は、学校にある保健室のように心と体のことを看護職に気軽に相談できる窓口のことで、血圧や血管年齢測定の健康チェック、健康や介護相談などが行われております。形態もさまざまで、常設もあれば、地域イベントのブースの1つとして開催されるケースもあるようです。本市においては、相談窓口として地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などがその役割を担っております。また、民間の取組としては、薬局によっては健康イベントなどで、顧客の健康チェックやアドバイスを行うところもあるようです。現在の体制で一定の機能を備えていると考えておりますので、新たに企業との協働などは予定しておりませんけれども、今後も情報の収集、研究に努めていきたいと思います。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 現在、民間企業の健康イベントはあるものの、それが全体としてどれだけ効果があるのか明確ではありません。民間企業とのさらなる協働を通じて専門性と資源を生かすことで、より高いレベルのサービスが提供できる可能性があります。本市が包括連携協定を結び、西尾市げんきプラザを無償で貸与してウェルネスを推進している、株式会社スギ薬局と連携して取り組むべきだと考えます。
 最後の質問であります。高齢者の食から考える虚弱フローは4つのフェーズ、前フレイル期、オーラルフレイル期、サルコ・ロコモ期、フレイル期に大別されています。特に大切なのは、前フレイル期からオーラルフレイル期の早い対応です。生活の範囲の狭まり及び精神面の不安定さから始まり、口腔機能管理に対する自己関心度(口腔リテラシー)の低下を経て、歯周病や残存指数の低下の兆候が現れる段階を前フレイル期、口腔機能の軽度低下、かつ舌の低下や食べこぼしや、わずかなむせ、かめない食品の増加などに伴う食習慣悪化の兆候が現れる段階としてオーラルフレイル期、口腔機能の低下が顕在化(咬合力が低下したり舌運動の低下)し、加齢性筋肉減弱症、サルコペニアや運動器症候群(ロコモティブシンドローム)、低栄養状態に陥る段階をサルコ・ロコモ期、最終的に摂食嚥下障害やそしゃく機能不全から要介護状態や虚弱フレイル(フレイル)運動・栄養障害に至る段階をフレイル期としています。
 フェーズの移行に伴い、口腔や全身における生活の質(QOL)や日常生活機能が徐々に低下をしていきます。このような口腔機能の低下や食と栄養の低下は、そのサインを早く見つけ、オーラルフレイルやたんぱく質摂取を中心とする食の改善に取り組む必要があります。そのような観点から、お尋ねします。
 質問要旨(5)高齢者の「オーラルフレイル予防」や「認定栄養ケアステーション設置」に取り組むお考えはありませんか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) オーラルフレイル予防として、本市では要支援1・2の方や口腔機能の低下を感じている方を対象に、かむかむ訪問・栄養訪問を実施しております。内容は、歯科衛生士や管理栄養士が自宅を訪問し、口や栄養に関する相談、口や義歯の手入れ指導、口腔筋トレなどの指導を行っております。そのほかにも、出前講座で栄養講座、お口の健康講座を開催し、オーラルフレイル予防に取り組んでおります。認定栄養ケアステーションについては、医療機関、薬局等の事業所が専任の管理栄養士を1名以上配置するなどの要件を備えて設置するものですので、市としては今のところ予定はしておりません。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) かむかむ訪問、栄養訪問や出前講座はすばらしい取組であり、口腔機能の低下を防ぐ効果が期待できます。しかし、認定栄養ケアステーションの設置が予定されていないとのことですが、このような施設もオーラルフレイル予防に有用であると思います。専任の管理栄養士が配置されることで、より専門的なケアが提供される可能性があります。市としては、この施設の設置を検討する余地はないでしょうか。特に高齢者が多い地域では、このような施設が一層必要とされる可能性が高いと考えます。
 違う観点から再質問します。「食支援コーディネーター」を創設し、「共食サービス」を充実させるお考えはありませんか、お伺いします。

◯議長(本郷照代) 健康福祉部長。

◯健康福祉部長(酒井正樹) 食支援コーディネーターとまでは呼んでおりませんが、役割としては、市では生活支援コーディネーターが食事の課題も含めて、高齢者が地域で心豊かに暮らしていけるための支援に携わっております。本市の高齢者通いの場では、さまざまな内容の活動をしており、その中には料理や食事も取り入れているところや、活動の後で集まった人たちで、自然発生的にお茶や弁当などで交流を深めているところも多く見られます。今のところ、食支援に特化したコーディネーターの配置は計画しておりませんが、通いの場など、地域の中で高齢者の居場所づくりを進め、参加を支援するとともに高齢者のニーズを把握し、介護予防事業に反映させていくことが重要と考えております。
 今後も、食支援の在り方も踏まえながら、現在の取組の一層の充実と周知に努めるとともに、地域バランスを考慮した展開をしていきたいと考えております。

◯議長(本郷照代) 中村直行議員。

◯7番(中村直行) 食事の課題を含めた高齢者支援が行われている点、並びに地域内での高齢者通いの場において、食事を通じた交流が自然発生的に行われている状況は評価できます。しかし、食事は高齢者の健康とクオリティー・オブ・ライフに非常に大きな影響を与えるため、食支援に特化したコーディネーターの配置を検討する価値はあると考えます。具体的には、栄養バランス、そしゃく嚥下機能、食の安全など多角的な視点からのサポートが可能となります。また、高齢者のニーズをより正確に把握し、介護予防事業にも有用なデータとして反映することができるでしょう。特化したコーディネーターがいることで、地域全体の高齢者支援が一層充実するとともに、その実施例を他の地域にも展開することが可能となります。
 農林水産省食育課のホームページには、共食のメリットが掲載をされております。まず、食事を通じてコミュニケーションや交流を図ることができるという点が挙げられます。1人で食事をしていると、どうしても孤独感を感じてしまいます。しかし、共に食事をしていると会話をしたり、趣味を共有したりするなど生きがいを感じることができます。また、栄養バランスの改善にもつながるという点が挙げられます。1人で食事をしていると偏った食事になりがちです。しかし、共に食事をしていると、ボランティアや家族、友人がバランスのよい食事を用意してくれるので、栄養不足を防ぐことができます。さらに、認知機能の向上にもつながるという点が挙げられます。食事を通じて新しい情報を得たり会話をしたりすることで脳が活性化され、認知機能の向上が期待できます。
 このように、共食サービスにはさまざまなメリットがあります。認知症カフェなどの高齢者か気軽に集える場の設置は確かに大切ですが、その活動をさらに進化させるべきときがきていると考えております。高齢者が孤食で食事をとる孤食の問題を解消し、仲間とともに会話と笑顔を交わす充実した時間を提供するために、子ども食堂にならい新たなコミュニティスペース「大人食堂」を地域に根づかせるべきです。このような取組によって、心豊かな高齢者生活を実現し、地域全体の活性化に寄与することができると考えます。
 またフレイル、身体的・精神的に虚弱な状態の予防については、その定義や特徴を理解することも大切であると考えます。フレイルの状態は、面談や健康診断だけで完全に把握できるわけではない可能性があります。それだけではなく、高齢者それぞれの生活環境や心理状態も考慮に入れ、総合的なアプローチが必要かと考えられます。介護予防にこれらの要素を反映させることで、より効果的なフレイル予防が期待をできます。自治体が、フレイル予防に本格的に取り組むことのメリットは計り知れません。栄養管理や運動、人とのコミュニケーションを通じて健康状態を維持する支援が行われることで、要介護の状態に陥るリスクが減少します。その結果として健康寿命が延長し、介護保険給付費が削減し、これが地域活性化や住民の社会参加につながるのは明白です。健康な市民は地域の活力そのものであり、自治体の持続的な発展にとって不可欠な要素です。
 このような観点から、フレイル予防に関する積極的な施策の推進は、ただ待つべき事象ではなく、緊急に行動を起こすべき課題であると考えます。
 以上を踏まえ、この重要なテーマについて、今後も積極的な施策を続けていただくよう心よりご期待を申し上げます。私の一般質問は、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
      〔7番 中村直行 降壇〕