024-02-27: 令和6年3月定例会(第4号) 本文
◯7番(中村直行) 新政令和の中村直行でございます。通告に従いまして、2議題12項目について一般質問をさせていただきます。執行部の皆様におかれましては、市民に寄り添った誠実な対応をお願い申し上げます。
議題1 本市における市街化調整区域の地域活性化についてであります。
西尾市は、豊かな自然と農業資源を生かした魅力的なまちづくりを目指しています。しかし、近年は、人口減少や高齢化、農地の減少など、様々な課題に直面をしています。市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であり、土地利用に厳しい制限があります。しかし、一方で、新たなビジネスチャンスや地域活性化の鍵となる可能性も秘めています。本議題では、本市における市街化調整区域の現状と課題を分析し、地域活性化に向けた具体的な取組や、市街化調整区域における新たなビジネス機会や雇用創出に向けた支援策の検討をし、これらの取組を実行することで本市の活力ある未来を創造していきたいと考えます。
本市の市街化調整区域の考えをホームページで調べたところ、都市の健全で秩序ある発展を図るために当該都市の発展の動向等を勘案し、市街地として積極的に整備する区域と、当分の間、市街化を抑制する区域と区分し、無秩序な市街化を防止することが必要とありました。愛知県においては、令和5年12月に、市街化調整区域内での土地利用に関する基本的な指針となる市街化調整区域内の地区計画ガイドラインについて、新たな改正が行われたという情報を耳にいたしました。
この改正は、都市の健全な発展と秩序ある拡大を支えるための重要なステップとして位置づけられております。具体的には、市街化調整区域における開発をより効果的にコントロールし、無秩序な市街化の進行を防ぎつつ、環境の保全と持続可能な都市発展を促進することを目的としています。このような背景のもと改正されたガイドラインは、地域ごとの特性を踏まえた柔軟な土地利用計画を可能にし、市街地としての積極的な整備を促す区域と、当分の間、市街化を抑制する必要がある区域とを明確に区分することにより、より計画的な都市開発を実現することを目指しています。
質問要旨(1)としまして、県が策定した市街化調整区域内の地区計画ガイドラインに基づく本市の対応はどのようですか。また、その対応における主な実績はどのようかお伺いします。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 愛知県が策定した市街化調整区域内地区計画ガイドラインは、秩序ある土地利用の観点から、開発行為等について適正に規制・誘導し、円滑な運用が図られるように基本的な考え方を示したものであり、本市においても県が策定したガイドラインを基にし、地域の実情に即した運用指針を作成しております。これまで市街化調整区域内において、工業系地区計画を11地区、全体で約101.7ヘクタールを地区計画として計画決定しております。
今後においても、地区計画を定めることにより、新たな企業進出や市街地の住工混在の解消にもつながると考えており、適正な土地利用の観点から計画的に配置し、誘導してまいりたいと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 再質問します。これまで市街化調整区域内において、工業系地区計画を11地区、全体で101.7ヘクタールを地区計画として計画決定をしているご答弁でございますが、市街化調整区域内における工業系地区計画の主な地区と、主に定められる内容はどのようかお伺いします。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 市街化調整区域内における工業系地区計画の主な地区としては、岡島江原流通団地や駮馬瀬戸工業用地などがあり、地区計画で定めることができる都市計画施設としては、道路や公園、公共空地及び緑地などがあります。施設の配置や区域の整備・開発及び保全の方針を定めることにより、著しく環境を害するおそれのない工場を誘致し、ゆとりのある街区の形成及び緑地帯の設置などにより環境の保全に努め、周辺の住環境や自然環境に配慮した地区計画となり、土地利用を図ることが可能となります。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 既に稼働している流通団地や工業団地、公園があることは分かりました。
そこで質問要旨(2)としまして、本市における市街化調整区域の現状と、これに対する長期的な展望についての見解はどのようかお伺いします。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域となっており、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える区域となるため、現状の土地利用としましては、基本的に田畑などの農用地として利用されております。また、市街化調整区域の長期的な展望でございますが、開発を抑制すべき区域のため、今後の土地利用についても基本的に農用地になると考えており、開発が容易となる市街化区域への編入等につきましては、基盤整備の確実性があることなどの要件を満たす必要があり、難しいと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) この地域を基本的に農用地として利用し続けることは、環境保全や持続可能な地域開発に貢献する重要な方針であることは分かりました。本市の市街化区域面積または調整区域の面積は、市街化区域で2,885ヘクタール、市街化調整区域が1万3,064ヘクタール、合計1万5,949ヘクタールですが、実に82%が市街化調整区域であります。この広大な市街化調整区域の利活用に取り組む自治体があるかどうか調べたわけでございますが、農地転用せず宅地開発、市が農村定住へJAと全国初の連携協定という記事を読みました。農村集落の人口減少に歯止めをかけ定住者を増やすため、石川県白山市とJA松任は連携協定を締結しました。市街化調整区域での開発を特例的に認める市のまちづくり制度を、集落で暮らすJA職員らに伝え、農作業小屋や遊休地などを対象とした宅地造成を後押ししております。
地域のJAが宅地開発に関連する協定を自治体と結ぶのは、全国初であります。市街化調整区域は宅地開発が制限されているが、白山市の開発許可基準条例に基づくまちづくり制度では、住民による協議会が土地の有効活用に関する計画書を作成し、市の許可を得れば農地法の範囲内で新たな住宅地の造成ができると定められています。特例的ではありますが、大変すばらしい取組であると考えます。
再質問としまして、市街化調整区域の土地利用を図るため、市独自の「まちづくり制度」を検討しませんか。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 市街化調整区域の土地利用につきましては、宅地開発が制限されているため、主として農用地以外の活用が図られていない現状となっており、議員がおっしゃった市独自のまちづくり制度を策定することで、一定の基準に沿った開発が可能になるとは思いますが、現時点では検討はしておりません。
今後の社会情勢が大きく変化し、市街化調整区域の土地利用を図ることが必要な状況になりましたら、制度などの手法について調査研究してまいります。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 調査研究をしていくということは、しないとの意味合いでございますが、市街化調整区域における土地利用の問題は、多くの自治体での共通の課題であります。市独自のまちづくり制度の検討を通じて、土地利用の最適化を図ることは市の発展にとって重要な要素です。
したがって、社会情勢の変化を待つのではなく、先見の明を持って可能な限り早期に検討を開始することが望ましいと考えられます。市街化調整区域の活用に関する継続的な調査や、他市の成功事例の分析を含め、将来にわたって持続可能なまちづくりを期待いたします。
質問要旨(3)に参ります。市街化調整区域内における空き家の問題について質問をさせていただきます。空き家は見過ごされがちですが、地域の安全性や美観、さらには地価にも影響を及ぼす重要な課題であります。特に市街化調整区域では制約が多いために、放置されがちな空き家がどの程度存在しているのか、その現状について市の把握状況をお伺いしたいと思います。
市街化調整区域内における空き家等の現状に関する市の把握状況はどのようですか、お尋ねします。
◯議長(本郷照代) 市民部長。
◯市民部長(小林明子) 本市は、空き家を都市計画区域ごとの分類はしておらず、市街化調整区域での空き家の現状の把握はできておりませんが、市内では、令和4年度時点で151件の管理不全空き家があることを把握しております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 市街化調整区域における空き家の具体的な把握が、まだ十分でないという現状が明らかになりました。151件の管理不全空き家があるとのことでありますが、これは市内全体の数字でありまして、市街化調整区域に特化したデータの予測は、今後の対策策定においては大きな課題となりそうです。この問題に対しては、より詳細な調査と、それに基づいた具体的な対策が求められることでしょう。空き家問題は、単に数を減らすだけではなくて、どのように活用していくのかも重要な観点であり、市としても、その方向性を模索する必要があると考えます。
空家等対策特別措置法の改正に伴う法改正は、市街化調整区域内の空き家の利活用を円滑に進めるための大きな一歩であり、これによって地域社会の活性化が期待されています。しかし、そのような法的枠組みの変化にもかかわらず、我々の市が具体的な計画を有しているのか、その実態についてお尋ねをしたいと思います。
質問要旨(4)としまして、空家等対策特別措置法が改正され、空家等対策計画に空家等活用促進区域を定めることで、市街化調整区域内の空き家が円滑に利活用できるようになりましたが、本市にはこの計画はありますか。
◯議長(本郷照代) 市民部長。
◯市民部長(小林明子) 本市には空家等対策計画はなく、空家等対策実施方針により管理不全に至る空き家の未然防止などを行っておりますが、今後は、必要に応じて策定を検討する必要があると考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 本市が空家等対策計画を持っていないということが分かり、少し驚きを隠せません。確かに、管理不全に陥る空き家の未然防止は重要でありますが、法改正の精神を踏まえた積極的な利活用促進に向けた取組も同様に重要であると考えます。今後の策定検討については、迅速かつ具体的な行動計画の提示を市民として強く望みます。空き家対策は、単に管理の問題ではなく、地域の活性化や安全性の向上、さらには市の魅力向上にも直結する課題です。この機会に他の部局とも連携し、より前向きで実行力のある対策が講じられることを期待します。
次の質問に参ります。市街化調整区域内での、住宅の売買に関する問題についてであります。市街化調整区域は、無秩序な都市拡大を抑制するための重要な区域である一方で、それに生じる厳しい建築制限が住宅市場に与える影響については、多くの市民の皆様からの懸念の声も挙がっております。特に、空き家の増加という社会問題にどのように対処していくべきか、市の考え方を伺いたいと思います。
質問要旨(5)市街化調整区域内では厳しい建築制限があり、住宅の売買が困難なことから、空き家の増加につながると思われますが、どのように考えていますか。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 市街化調整区域は、市街化を抑制する区域であることから、住宅を新たに建てる場合には厳しい建築制限がありますが、既に構成されている地域コミュニティが衰退してはいけないという観点から、敷地面積が500平方メートル以下の既存住宅に相当期間適正に住まわれている方が、やむを得ない事情により住宅を手放す場合につきましては、あらかじめ都市計画法の許可を受けることで、現在居住している住居について、過密・狭小・借家等の事情がある方に対して売買することが可能になります。
市街化調整区域の地域コミュニティで、住宅の再建築が進まないことは、空き家の増加に加えて高齢化や過疎化が進む懸念がありますので、許可が可能な既存住宅につきましては、許可を受けた上での売買を行っていただき、地域コミュニティの活性化につなげていただきたいと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 答弁は、市街化調整区域における住宅の売買に対する現行の対応策と、地域コミュニティの維持に向けた取組の重要性を示しております。厳しい建築制限の下でも、特定の条件を満たす既存住宅については売買が許可されることが分かりました。これが、地域コミュニティの衰退防止につながるとの観点が示されました。このような柔軟な対応が空き家問題の解決に向けた一歩であると感じます。しかし、高齢化や過疎化の進行という大きな課題に対しては、さらに総合的な対策が求められると考えます。地域コミュニティの活性化を目指し、住宅の売買を通じて、より多くの人々が市街化調整区域で生活しやすくなるよう、今後も政策の検討と実施が重要となります。
先日、私の住む福地地区でも、跡取りのない独居老人の方がお亡くなりになりました。空き家となって、ご自宅の処理に困ってみえました。市街化調整区域のため売買もできず、固定資産税がかかり続けると、このケースはどうなのか。既存住宅の売買における許可申請のプロセスと、そのために必要とされるやむを得ない事情について、明確な基準と手続きなど、市民の生活に密接に関わるこの詳細について再質問したいと思います。
要旨としましては、既存住宅の売買に関する許可を得るために必要となる「やむを得ない事情」とはどのようなものか。また、許可を受けるための申請プロセスについてはどのようかお伺いします。
◯議長(本郷照代) 都市整備部長。
◯都市整備部長(吉田修二) 「やむを得ない事情」は、それまで住んでいた住宅を売却することに対して、社会通念上やむを得ないと判断できるもので、住宅の主たる収入者の死亡や定年、家族の健康上の事情等に伴い、現在の住宅に居住していることが困難になった場合等が該当します。また、許可を受けるための申請プロセスでございますが、建築課を窓口に事前相談として既存住宅に違反がないこと、現在の住宅居住者がやむを得ない事情で住宅を手放すこと、買い手側に過密・狭小等の事情があること等を審査し、支障のない場合は改めて許可申請を行う流れとなります。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 既存住宅の売買に関する許可を受けるためには、社会通念上やむを得ない事情が必要であるということと、その範囲が死亡や定年退職、健康上の問題など、非常に人生の大きな転換点に関するものであることが分かりました。また、許可申請プロセスにおいては建築課が窓口となり、事前相談から許可申請まで流れがあることが明らかになり、市民が適切な手続きを踏むための情報提供と支援が整っていることに安心感を覚えます。しかし、これらのプロセスが市民にとって理解しやすく、アクセスしやすい形で提供されるかが引き続き重要であり、執行部には、その点でさらなる努力を期待したいと感じます。
次の質問に参ります。市街化調整区域の耕作放棄地対策としまして、複数の自治体が農地マッチング事業を導入しています。これらの事業は、農地の有効活用を促進し、耕作放棄地の発生を防止する目的で開始をされました。具体的には、農地を求める農家や新規参入者と農地を貸したい、売りたい所有者との間でマッチングを行い、賃借や売買を促進します。しかし、市街化調整区域内の土地では、原則として農地転用の許可が下りないため、農地活用の選択肢が限られています。遊休農地や耕作放棄地の問題を深刻に捉え、その解決策として農地マッチング支援事業の導入を提案させていただきます。地域の農業を活性化し、新規就農者を含む農地の有効利用を促進することは、本市にとって非常に重要な課題であります。この問題に対し、具体的な答弁を伺いたいと思います。
質問要旨(6)としまして、農地の賃借・売買に係る情報の収集と提供を通じ、遊休農地や耕作放棄地の発生防止と、担い手への農地の集積・集約化や市内外からの新規就農の促進を図るための農地マッチング支援事業を検討しませんか、お尋ねします。
◯議長(本郷照代) 産業部長。
◯産業部長(山本吉明) 農地マッチング支援の事業化ではありませんが、西尾市では12月末に行いました地域計画策定の基礎資料となります、農業振興地域の農用地区域内の農地に関する意向調査を基に、地域における話し合いを令和6年度から行い、その話し合いの中で、農地所有者から担い手や新規就農者へのマッチング及び集団的な農地利用の調整を行うことにより、農地の集積・集約化を図ってまいります。
また、地域計画策定後、適宜見直しを行うことで、さらに農地の集積・集約化が進むとともに、遊休農地や耕作放棄地の発生防止につながるものと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 今のご答弁は、農地マッチング支援事業の具体的な事業化には至ってないもの、農用地区域内の農地に関する意向調査を基にした地域計画策定と、その後の農地の集積・集約化に向けた話し合いの実施計画があることが分かりました。特に、地域計画策定後の適宜な見直しを通じて、集積・集約化が進むとともに遊休農地や耕作放棄地の発生防止につながるという点は、私が目指す方向と合致しており、今後の進展に期待を寄せています。しかし、市内外から新規就農者へのさらなる支援策や、農地マッチング支援事業の具体化に向けた取組も同時に進めていくべきだと考えます。
今回の答弁は、一歩前進と捉えております。農地の有効活用と農業の持続可能な発展を目指し、引き続き執行部と綿密な協議を求めていきたいと思います。
1点、再質問をします。農地に関する意向調査の内容について、具体的に示してください。
◯議長(本郷照代) 産業部長。
◯産業部長(山本吉明) 意向調査につきましては、農業振興地域の農用地区域内の農地所有者、約7,400世帯に対しまして、主に農地管理をしている方の年齢、後継者の有無、おおむね5年後、10年後の農業経営の意向及び地域の営農について、必要と思われる取組内容を主な調査項目として昨年12月に実施をいたしました。また、5年後、10年後の所有農地1筆ごとに自分で耕作や管理をしていくのか、他の農業者に貸出しや譲渡を希望しているのかなどをお聞きしております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 次の質問に参ります。市街化調整区域における新たなビジネス機会や雇用創出の可能性に関して、私たちの地域が抱える潜在能力を最大限に引き出し、持続可能な成長を促進するための支援策についてお尋ねをします。
私の住む福地地区は、観光拠点として憩の農園がリニューアルし、年間100万人以上の来場者があり、にぎわいが創出されました。現在の経済状況と社会の変化の中で、私たちは新しいアプローチと革新的な思考を取り入れることが急務であると認識しております。
質問要旨(7)としまして、市街化調整区域での新たなビジネス機会や雇用創出に向けた支援策について、市はどのように考えているかお尋ねします。
◯議長(本郷照代) 産業部長。
◯産業部長(山本吉明) 物流に関する2024年問題により、輸送能力が大幅に不足する可能性があると試算されていることや、将来的に高齢化や農業者の減少による農地が適切に利用されなくなることが懸念されております。これら将来的な問題を少しでも解消するための一例といたしまして、地域での話し合いを行い、分散した農地を集積・集約化に取り組み、大規模な農業法人等の参入や設立、生産された農作物等を集約し加工する工場、商品化した農作物を販売するような6次産業化を含めた一体的な農地利用ができる環境を整えることや、諸手続きを総合的に支援することで、市街化調整区域における農業を含むビジネス機会や雇用創出につながるものと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 市が示した答弁は、現在及び将来にわたる課題に対して、具体的かつ実行可能な解決策を提案している点はとても評価できます。特に分散している農地の集約化や大規模農業法人の参入促進、6次産業化に向けた農産物の付加価値創出などは、地域経済の活性化に大きく寄与することが期待をされます。これらの取組は、新たなビジネス機会の創出や雇用の確保に直結し、市街化調整区域の活性化につながると考えられます。市の、このような総合的な支援策は、地域社会における持続可能な発展を目指す上で非常に重要な一歩と考えます。市街化調整区域の活用という課題は複雑であり、多角的なアプローチが必要ですが、今回のやり取りから得られた知見と提案は、この解決策を模索する上での貴重な資源となります。市民、地域社会、そして市の執行部が一丸となって取り組むことで、西尾市のよりよい未来を創造することを期待し、この議題を終わります。
議題2に参ります。本市の観光振興と地域公共交通の活性化に関する議題について、質問をさせていただきます。
私たちの美しい西尾市は、その豊かな自然、文化、伝統を背景に観光地としての魅力が豊富にあります。そのポテンシャルを最大限に引き出し、地域経済にとっての大きな推進力とするためには、総合的な戦略が不可欠であります。今回の一般質問を通じて、観光客の増加による地域経済の貢献、地域公共交通の利便性の向上、そしてそれらがいかにして地域の持続可能な発展に寄与するかについて、市の具体的な計画と取組を伺いたいと思います。本市の観光振興と地域公共交通の活性化に向けた総合戦略について、お尋ねをします。
観光は言うまでもなく、地域経済の活性化に直結する重要な要素であり、公共交通の充実は、その観光を支える基盤となります。この2つのテーマは、地域の持続可能な発展を図る上で、切っても切り離せない関係にあります。そこで、地域住民や地元事業者との連携による観光旅客の滞在促進に向けた具体的な取組について、本市の見解を伺いたいと思います。
質問要旨(1)地域住民や地元事業者と連携して、観光旅客の滞在を促進する具体的な取組はありますか、お尋ねします。
◯議長(本郷照代) 交流共創部長。
◯交流共創部長(石川孝次) 地域住民等と連携した取組といたしましては、西尾祇園祭、米津の川まつり、きらまつり、はずストーンカップなどのお祭りやイベントがございます。また、地元事業者との連携につきましては、吉良温泉観光組合やスギ薬局と連携して行っている健康ツーリズムなどがございます。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 西尾祇園祭や米津の川まつりなど、地域のお祭りやイベントは観光客の皆様にとって魅力的な機会を提供するとともに、地域住民の方々との絆を深める大切な役割を果たしています。また、吉良温泉観光組合やスギ薬局との連携による健康ツーリズムの取組は、新たな観光客の誘致につながるすばらしい試みだと感じます。これらの取組をさらに発展させ、西尾市の魅力を国内外に広く伝えることで、地域経済の活性化と公共交通の利用促進につながることを期待しております。
観光産業は地域の魅力を内外に伝え、経済活動を促進する重要な役割を担っています。また、地域公共交通の充実は観光客の利便性のみならず、地域住民の生活の質の向上にも寄与します。この2つの要素は相互に影響し合いながら、地域経済とコミュニティの活性化を支える基盤となります。
そこで、観光客の増加を通じて、地域経済に貢献するための施策やプロモーション活動の具体例について本市の見解を伺います。
◯議長(本郷照代) 交流共創部長。
◯交流共創部長(石川孝次) 地域経済に貢献するための施策につきましては、観光事業の全てが賑わい創出による地域経済の発展とシビックプライドの醸成につながるよう実施していますが、道の駅にしお岡ノ山や憩の農園、吉良温泉、抹茶、うなぎ、えびせんべいなどのPRにつきましては、地域経済のための施策として顕著であると考えます。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 地域経済の活性化とシビックプライドの醸成に資する様々な施策が実施されていることを、深く理解をしました。特に道の駅にしお岡ノ山、憩の農園、吉良温泉をはじめとする地域資源のPR活動は、観光客の誘致及び地域経済の振興に大きく寄与していることがうかがえます。これらの取組を通じて、地域の魅力がさらに多くの人々に伝わり、西尾市を訪れる観光客の数が増えることを期待しております。執行部と議会が一体となって、これらの施策のさらなる充実と発展に努めていくことが求められます。
そこで、PR活動の観点から再質問をしたいと思います。デジタルサイネージというものがありますが、これは観光振興や公共交通の案内、交流やイベントのプロモーションなど多岐にわたる分野で活用されています。私は、これを駅前に設置することがいいと思っているんですけれども、このデジタルサイネージのメリットを少しだけ紹介しますと、駅前の人が多く集まるところで、デジタルサイネージを設置することで、多くの人々の目に触れる機会が増えます。高い視認性があったりとか、駅前を利用する人々に対して乗換え案内や周辺の地図、観光スポットへの道案内など、リアルタイムで役立つ情報提供をすることができる。また、地域のイベントや観光スポット、特産品の紹介など、地域の魅力をアピールするコンテンツを配信することで地域の魅力を紹介できたりとか、広告収入が得られるとか、災害や緊急事態が発生した際のデジタルサイネージを通じて緊急情報の迅速な伝達ができると、市民や観光客の安全を守る手段としても機能します。また、紙のポスターやチラシに代わる情報伝達として、環境に優しく資源の無駄遣いがないということで、とてもフレンドリーな情報伝達の機会でもあります。駅前にデジタルサイネージを設置することは、これらのメリットを通じて都市の情報伝達の効率化、地域の経済の促進、そして訪問者の満足度向上に寄与すると思います。
そこで再質問ですが、本市を訪れた方々への最初のプロモーションとして、西尾駅にデジタルサイネージを設置し、観光PRを図らないかお伺いします。
◯議長(本郷照代) 交流共創部長。
◯交流共創部長(石川孝次) 西尾駅は、本市を観光で訪問される方々の主要な拠点の1つであると考えます。ご提案いただきましたデジタルサイネージを西尾駅に設置することは、西尾の魅力の発信や様々な観光地のPR、初めて本市を訪れた方へのアクセスの案内等、大変効果的であると考えますので、まずは名鉄と協議していきたいと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) ご答弁によりますと、西尾駅にデジタルサイネージを設置することは観光の魅力を発信し、多くの観光地をPRするため、また初めて本市を訪れた方へのアクセス案内を提供するために大変効果的であるとご見解をいただきました。この提案が実現すれば、西尾市の観光振興に大きく貢献するものと確信をしております。
この提案に対して前向きなご答弁をいただいた執行部には感謝を申し上げますし、また名鉄との協議を進めて早期の実現を目指すことを心から願っております。
次の質問に参ります。先ほどから何度も申し上げておりますが、私たちの地域は豊かな自然、歴史文化を背景に大きな観光の潜在力を秘めています。この潜在力を最大限に引き出し、より多くの観光客を引きつけるためには、公共交通の利便性の向上が不可欠であります。この点に関しては、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の導入という革新的な取組が、今、全国的にも注目されております。今日は、この取組が地域の公共交通及び観光振興にどのように寄与するのか、その展開計画についてお尋ねをしたいと思います。
質問要旨(3)西尾市地域公共交通計画におけるMaaSの取組として、観光客が容易に利用できる公共交通ルート検索やキャッシュレス決済など、サービスの具体的な展開計画と、それらが公共交通利用の促進及び観光振興にどのように寄与するのかについて、市の詳細な見解を伺いたいと思います。
◯議長(本郷照代) 市民部長。
◯市民部長(小林明子) 本市における公共交通ルート検索としましては、コミュニティバスの路線情報をGoogleマップはじめ、NAVITIME、駅すぱあと、ジョルダンに提供をしており、乗換検索などにご利用いただける状況にあります。市内の全ての鉄道、バスが対応済みで、例えばGoogleマップでは、バス停名、バス停位置が分からなくても、行きたい目的地を設定すれは公共交通を含む最適な移動ルートが確認できます。また、複数の言語に対応しており、使い慣れた言語で移動計画を立てることができます。
キャッシュレス決済への対応としましては、コミュニティバスにおいてPayPay及びLINEPayでの運賃支払いが可能であるほか、名鉄バス、名鉄東部交通バスにおいては、交通系ICカードでの運賃支払いが可能となっております。ルート検索が容易にできれば、複数の公共交通を組み合わせたシームレスな移動に貢献できるほか、一人一人のニーズに合った移動方法が提案できることから、より公共交通が利用しやすい環境が整うものと考えております。また、キャッシュレスの導入により、利用者の利便性向上はもとより、運転士の負担軽減にもつながるなど、安心・安全な公共交通の実現に寄与するものと考えております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 本市におけるMaaSの取組が、観光客のアクセシビリティ向上と地域公共交通の活性化に重要な役割を果たすことが明らかになりました。公共交通のルート検索の容易さと、キャッシュレス決済の導入は観光客でなく、地域住民の公共交通利用促進にも寄与します。これらの取組は、観光振興と公共交通のシームレスな連携を実現し、西尾市の魅力を、より多くの人々に広めるための重要なステップです。このような革新的な取組を通じて、持続可能な地域発展を目指し、より魅力的な西尾市を創造していく必要があると思います。
今後も引き続き、この重要な課題に取り組んでいきたいと思います。
次に参ります。先日、車を持たない市民の方から、くるりんバスの利用に関する深刻な相談を受けました。その方は、日頃からくるりんバスやタクシーを主な移動手段として利用されています。ある日、市民病院を受診するためバス停で待っていたところ、バスが満員で乗車できなかったということでした。次のバスを待つとしても1時間半も路上で待たなければならず、体調を考慮しても到底許容できる状況ではありませんでした。代替手段として、バスの委託先であるところにタクシーを呼んだんですが、安城から来るということで30分以上も待たされたということでありました。市民病院の受診は緊急性が高い場合も多く、長時間待たされるということは大きな負担となります。
そこで質問要旨(4)としまして、コミュニティバスにおいて、定員を超える利用があった場合、タクシーに乗る乗りこぼし対応をしていると思いますが、その配車に30分以上かかるなど、利用者にとって不便な状況が生じています。乗りこぼしを速やかに対応する方策を検討しませんか、お尋ねをします。
◯議長(本郷照代) 市民部長。
◯市民部長(小林明子) コミュニティバスの運行に当たり、午前中などの利用が多い時間帯において、車両の乗車定員を超える利用が発生することがございます。また、一部の路線では、市外のタクシー会社が運行を担っており、自社のタクシー車両による乗りこぼし対応を実施することから、配車に時間を要しております。
今後は、市内のタクシーを活用して乗りこぼし対応を行うことで、運行事業者と合意し、現在、運用変更に向けた準備を進めております。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) 車を持たない市民にとって、くるりんバスはなくてはならない存在であります。今回、ご相談した事例は氷山の一角でありまして、多くの市民が同様の不便を強いられている可能性があります。市民の皆様の安心・安全な移動を確保するためにも、乗りこぼし対応の早急な検討と実施、そして市民目線のバス路線の運用をお願いいたします。
最後の質問に参ります。自家用有償旅客運送は地域住民の移動手段を確保し、地域の活性化に貢献する重要な役割を担っています。こちらに、国土交通省が発行している「自家用有償旅客運送のハンドブック」というのがあるんですけれども、自家用有償旅客運送とは、道路運送法に基づき白ナンバーの自家用自動車を用いて、対価を得て旅客を運送する事業であります。いわゆる、白タクというものです。白ナンバーは、一般の自動車とは異なり営業用ではないとみなされるため、自家用有償旅客運送をするためには国土交通大臣の登録を受ける必要があります。この自家用有償旅客運送には、大きく分けて3つの形態があります。
1つ目として、市町村が運営する有償運送であります。市町村が主体となって運営する自家用有償旅客運送であります。地域公共交通の空白地帯における住民の移動手段を確保することを目的としておりまして、これらに取り組んでいる自治体も調べたところ、兵庫県の三田市が広野地区まちづくり協議会に委託して運営しているとか、鳥取県の日野町や江府町が町営タクシー事業で、白ナンバーで片道500円で17キロメートル以内の乗車ができるということがあります。
また2番目には、公共交通空白地の有償運送というものがありまして、NPO法人などの非営利団体が主体となって運営する自家用有償旅客運送であります。市町村運営旅客運送と同様に、地域公共交通の空白地帯における住民の移動手段を確保することを目的としており、こちらも愛媛県の久万高原町で地元のNPO法人「TEtoTE」というところが、講習を受けた住民が、こちらは片道100円で運転をしてくれると。ここは人口が150人ぐらいで高齢化率が77%と、本当に必要があって住民の人の助け合いでやってらっしゃるのかなと思います。
3つ目は、福祉有償運送ということで、市町村、NPOが主体となって運営する自家用有償旅客運送であります。身体障害者や高齢者など、移動が困難な方の移動手段を確保する目的としています。自家用有償旅客運送の運賃というものは大体バス運賃程度か、タクシー運賃の2分の1程度に設定をされています。
皆さんもご承知のとおり2024年4月には、ライドシェアが条件付きで利用できるようになります。タクシーの不足や深刻な地域や時間帯に限定した運用で、朝の通勤時間帯やイベント開催時、公共交通のトラブル時などの運用が想定されていますが、通常、日本では第二種免許がなければ料金を受け取って人を輸送することはできません。しかし、新たな制度では、タクシー会社の運行管理のもとで第一種の運転免許しか持っていないドライバーでも、乗客の輸送が可能です。タクシー会社が、ドライバーへの教育や車両整備の管理を実施するとともに、事故発生時の責任も負う形で運用をされます。
さらに、この条件付き解禁で効果や問題点を検証した上で、2024年6月までには法改正の結論を出すとも発表をされています。つまり、この条件付き解禁での運用状況次第では、条件を撤廃したライドシェアの運行が開始される可能性もあるのです。そのような観点から、お尋ねをしたいと思います。
質問要旨(5)としまして、2024年4月に条件付きで利用できる「ライドシェア」について、本市はどのように考えているかお尋ねをします。
◯議長(本郷照代) 市民部長。
◯市民部長(小林明子) 一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶライドシェアにつきましては、4月からタクシー事業者による運行管理のもと、一部解禁に向けて国において制度設計に向けた議論が始まっております。制度案によると、タクシーが不足する地域や時期、時間帯に限り運行を可能とすることや発着地と運賃については、あらかじめ確定とすることとされております。現時点では、利用方法や運行管理、車両やドライバーに係る要件など、制度の詳細や具体的な基準は明らかになっておりません。将来的には、全面解禁も視野に検討が進むとされていることから、市といたしましては、地域の交通事業者の意向を確認するとともに、制度の活用可能性について、引き続き議論の動向を注視してまいります。
◯議長(本郷照代) 中村直行議員。
◯7番(中村直行) ライドシェア導入に関する国の制度設計の進行具合と、それに伴う本市の対応策について理解を深めることができました。ご答弁では、まだ多くの点で不確定要素があるということが明らかにされましたが、それにもかかわらず、この新しい挑戦に対する前向きな姿勢が示されたことを高く評価をいたします。
先ほど私もニュースで調べていたところ、2月24日時点で、このライドシェアをめぐり石川県加賀市をはじめ、全国23の自治体が市町村を実施主体とする方式で導入の検討を始めていると拝見しました。地域における交通サービスの改善は、市民生活の質を高めるために欠かせない要素であります。今後も、制度の具体化と実装に向けて議会としても積極的に関わってまいりたいと思います。
締めくくりとして、本日、ご質問をさせていただいた観光振興と地域公共交通の活性化に向けた総合戦略は、本市にとって非常に重要な課題であります。提案された各施策やプロモーション活動、そしてそれらの実施に向けた具体的な計画に多大な期待を寄せております。本市がこれからの取組を通じて、さらに魅力的な観光地としての地位を確立し、市民の皆様の生活の質の向上に寄与することを強く願っております。この重要な取組について、皆様の継続的な支援とご協力をお願い申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。